碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「宙(そら)わたる教室」今年後半の収穫と言える一本!

2024年12月18日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

今年後半の収穫と言える一本!

窪田正孝主演

「宙(そら)わたる教室」

 

先週、ドラマ10「宙わたる教室」(NHK)が完結した。

舞台は新宿にある夜間定時制高校。年齢も経歴もさまざまな生徒たちが学んでいる。そこに赴任してきたのが理科教師の藤竹(窪田正孝)だ。

藤竹は部活としての「科学部」の立ち上げを呼びかける。参加したのは読み書きが苦手な岳人(小林虎之介)。40代女性のアンジェラ(ガウ)。保健室登校の佳純(伊東蒼)。そして、中卒で集団就職した70代の長嶺(イッセー尾形)だ。

物語のタテ軸は、火星の重力下でクレーターを再現する実験。ヨコ軸はそれぞれに抱える葛藤と向き合う生徒たちだ。実験の試行錯誤と並行して、岳人と不良仲間の関係や、長嶺の自分に対する怒りなどが描かれていく。

藤竹は一方的に指導したりしない。学びながら自分を変えていこうとする彼らを見つめ続ける。教室は彼らが自分自身で「あきらめていたものを取り戻す場所」だからだ。

また、思うようにいかない実験も、失敗などあり得ない。なぜなら、「誰もやったことがないこと」を試みているからだ。

大団円は学会での発表だった。岳人は「1年前には想像できなかった場所に立っている」と目を輝かせ、藤竹は「どんな人間にも必ず可能性はあります」と断言する。

原作は伊予原新の同名小説。脚本は澤井香織。今年後半の収穫と言える一本になった。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.12.17)

 


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