碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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【新刊書評2024】 『小林旭回顧録 マイトガイは死なず』ほか

2024年12月16日 | 書評した本たち

 

 

「週刊新潮」に寄稿した書評です。

 

小林 旭『小林旭回顧録 マイトガイは死なず』

文藝春秋 2420円

昭和30年代半ば、小林旭は4年間に47本もの作品に主演。体を張った命がけのアクションで人気を博した。また浅丘ルリ子との悲恋、美空ひばりとの結婚・離婚、ゴルフ場経営の失敗や黒い交際疑惑もあった。心の支えとなったのは病没まで連れ添った妻の青山京子だ。そんな話をマイトガイは包み隠さずに明るく語っていく。思い入れのある映画と音楽についての「本人による作品解説」も貴重だ。

 

堀内正美『喪失、悲嘆、希望~阪神淡路大震災 その先に』

月待舎 1980円

俳優である著者が東京から神戸に移住したのは1984年。95年の阪神淡路大震災直後からボランティア活動を始め、2002年にはNPO法人「阪神淡路大震災1・17希望の灯り」を立ち上げた。本書は自身が体験した震災と復興と風化の記録だ。災害現場で何が起きるのか。当事者は何を思うのか。ボランティアは何ができるのか。災害に限らず、喪失と悲嘆を経験した人たちへのメッセージだ。

 

倉本 聰『海の沈黙~公式メモリアルブック』

マガジンハウス 1980円

公開中の映画『海の沈黙』。世界的な画家の贋作事件をきっかけに、「美」をめぐる緊迫のドラマが繰り広げられる。モチーフとなったのは約60年前に起きた「永仁の壺事件」と呼ばれる古陶器の真贋騒動だ。名のある評論家が認め、権威者たちが太鼓判を捺せば何億という値がつく美術品。では、美とはいったい何なのか。本書には倉本の脚本と主要キャストなどのインタビューが収められている。

(週刊新潮 2024.12.12号)

 


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