碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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【新刊書評2024】 『遠藤周作 おどけと哀しみ』ほか

2024年10月28日 | 書評した本たち

 

 

「週刊新潮」に寄稿した書評です。

 

加藤宗哉

『遠藤周作 おどけと哀しみ~わが師・狐狸庵先生との三十年

河出書房新社 2310円

著者は慶應義塾大学在学中に遠藤周作編集の「三田文学」に関わり、以後生涯の師弟関係となった。若き日の著者が書いた小説について、〈暑さ〉を描きたいのなら、太陽や光ではなく「カゲを書くのや」と言っていた遠藤。ケタはずれの読書家・勉強家でありながら、そのイタズラ心は晩年まで衰えなかった。「融通がきかぬほどに真面目な人だった」師が、弟子の前だけで見せた素顔がここにある。

 

箕輪顕量:編著、東京大学仏教青年会:著

『日本を変えたすごい僧侶図鑑』

産業編集センター 1980円

仏教には学問と修行の2つの道がある。その大きな流れの中で活躍した50人の僧侶を紹介するのが本書だ。総合的な仏教体系を目指した最澄。日本各地に伝説を残す空海。浄土宗を開いた法然。こうした〝有名人〟はもちろん、修験道の祖である役小角(えんのおづぬ)や室町期の禅宗興隆を招いた高僧・夢窓疎石(むそうそせき)など、知る人ぞ知る傑僧たちの人生と教えに接することができる。

(週刊新潮 2024.10.24号)

 


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