碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

「黒澤明」と「黒澤映画」は、”観る”のはもちろん、“読む”のも楽しい!?(その2)

2017年08月22日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム



『天国と地獄』を観直す

黒澤明監督の『天国と地獄』を、DVDで観直しました。個人的には、黒澤作品の中で最も好きな1本です。

元々は調べたいことがあって、「冒頭部分だけ観よう」なんて思っていたのですが、いやあ、権藤邸でのオープニングから、もう目が離せません(笑)。ついつい最後まで観てしまいました。

映画は(ドラマもそうですが)、「まず脚本だなあ」とあらためて実感します。原作としてクレジットされている、エド・マクベイン『キングの身代金』も面白いけれど、こうなると完全な“別物”ですから。

演出も役者も素晴らしいのですが、モノクロで映しだされる当時の横浜の風景がいい。映画の中の“風景”は、そのままフリーズドライというか、いわば保存されているわけで、昭和30年代の空気を体感できるのが嬉しいのです。

また、「こだま号」の車内から、外を撮影する際の邪魔になるからと、線路沿いの民家の二階をバラした(撤去した)話は、何度聞いても(読んでも)「いかにも黒澤監督!」というエピソードで、この作品を観るたび、ニヤリとしてしまいます。

『大系 黒澤明』と『血の玉座~黒澤明と三船敏郎の映画世界』

浜野保樹:編・解説『大系 黒澤明』(講談社)の第2巻を開いてみます。このシリーズは時間順で構成されていて、第2巻は1952年から73年までを扱っています。それは、「東宝への復帰」から「時代劇三部作」を経て、「黒澤プロダクション」へと至る、黒澤監督にとってダイナミックな時代に当たります。

嬉しいのは、この時期に生み出されたのが『七人の侍』『用心棒』『天国と地獄』などで、好きな作品が多いことです。中でも、11両編成の「特急こだま」を借り切って行われた『天国と地獄』の撮影裏話は、読んでいてもわくわくします。

また、撮った作品だけでなく、実現しなかった企画や作品に関する文章や発言を読めるのも有難いですね。

たとえば、1964年に開催された「東京オリンピック」の記録映画についてなど、とても興味深いです。黒澤監督側が提示した予算と、組織委員会のそれとが大きく食い違い、結局、この仕事から降りてしまうのです。代わりに撮ったのが、市川崑監督でした。

そういえば、黒澤監督は『トラ・トラ・トラ!』も降りましたが、この本には、その辺りの内幕というか、事情も出てきて、飽きさせません。

『大系 黒澤明』全5巻、黒澤監督の「全著述・全発言を集大成」という堂々のフレコミに嘘はない、と言えます。雑誌に載った小さな文章や、埋もれていた座談会もしっかり収められているし、初めて見る写真も満載。浜野さん(東大教授)のまさに労作です。

上島春彦 『血の玉座~黒澤明と三船敏郎の映画世界』(作品社)は、黒澤監督に関する出版物の中でも異色の一冊です。俳優・三船敏郎に注目し、黒澤映画を「三船が主演した16本から解読する」挑戦的な試みだからです。

例えば「ボディ・ダブル~黒澤的分身の成り立ち」の章は、主人公と敵対者や師との関係を「分身」という概念で捉える論考。著者によれば、『野良犬』とは三船を指すだけでなく先輩刑事の志村喬も同様であると。そして木村功が演じる犯人は狂犬。いずれも“青二才”三船の分身なんですね。

また「血の玉座~『蜘蛛巣城』論」では、内と外を隔てる「門」に着目します。『羅生門』や『赤ひげ』に登場する門とも比較しながら、一見、単なる建造物に過ぎない「門」が、登場人物たちの関係性を伝えていることを明かします。ある意味で黒澤の分身でもあった三船が“青二才”でなくなった時、二人に「長い別れ」が訪れたのでした。

まだまだある「黒澤本」・・・

元NHKカメラマンで、その後大学の教壇に立ってきた都築政昭さんにとって、『黒澤明~全作品と全生涯』(東京書籍)は、なんと10冊目の黒澤本です。評伝と作品研究はもちろんですが、黒澤監督のシナリオ作法や、カメラワークに関しての解説が出色です。「何を描くか」「いかに描くか」にこだわり続けた黒澤明の真髄がここにあります。

ステュアート・ガルブレイス4世:著、櫻井英里子:訳 『黒澤明と三船敏郎』(亜紀書房)の著者は、アメリカ人映画評論家。黒澤監督と三船の生涯を一冊の伝記とすることを目指し、厚さ5センチの大部にまとめ上げました。この本の特色は、映画公開当時の欧米の評論が多数引用されていることです。また関係者たちへのインタビュー取材も資料的価値が高いと思います。

『喜劇映画論~チャップリンから北野武まで』(桜雲社)は、ずっと「お笑い芸の範囲にとどまらない演技術の歴史を書きたいと思っていた」と思っていたという、佐藤忠男さんの著作です。本書には、小津安二郎のギャグから「黒澤明作品における道化」、さらにウッディ・アレンが生み出す笑いの解読までが並んでいます。かつて低俗文化と呼ばれた喜劇が持っている豊かさと鋭さを知る一冊です。

野上照代さんは、黒澤明監督作品には不可欠だったスクリプター。『もう一度 天気待ち~監督・黒澤明とともに』(草思社)では、身近で見てきた監督と俳優、制作現場の秘話までを開陳しています。この本は、以前出版された回想記に、新たな書き下ろしを加えた復刊です。三船敏郎や仲代達矢が、いかに黒澤監督と切り結んだか。監督の執念の凄さも含めて描かれていきます。


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「黒澤明」と「黒澤映画」は、”観る”のはもちろん、“読む”のも楽しい!?(その1)

2017年08月21日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム


近所のレンタル屋さんに行って、びっくりしました。新作も旧作も、5枚で1000円! 定額の動画配信サービスの普及や、会員なら無料のamazonプライムビデオなどの登場もあり、レンタル料金も随分こなれてきたものですね(笑)。

いい映画を観るのは人生の大きな楽しみですが、映画監督とその作品に関する本を読むのもまた、貴重な楽しみの一つです。

「黒澤明監督」と「黒澤作品」を読む

「アップの多い映画だなあ」と何度も思いました。DVDで、黒澤明監督の『わが青春に悔いなし』を見ていた時のことです。

この映画では、お嬢さんだった原節子が生き方に目覚め、自分の意思で、あえて困難と思われる道を歩んでいきます。その変化していく姿を見せる意味もあるのでしょう。節目節目で、彼女の顔の「アップ」が現れます。後期の黒澤作品では、アップのカットの印象が割と薄いので、よけい気になったのかもしれません。

樋口尚文『黒澤明の映画術』(筑摩書房)は、「技術が生み出す映画的なエモーションのみに切り口を絞る」というユニークな黒澤明論です。その中に「顔と眼」の章があり、この作品での”顔のドラマ”にも言及していて、「顔そのものが持つ名状しがたい衝迫そのものが、ごろんと投げ出されている」とありました。うーん、確かにそうかも。

『わが青春に悔いなし』で、原節子とともに、その顔が強い印象を残すのが、獄死した恋人(藤田進)の母である杉村春子です。息子を思う気持ちは人一倍で、その息子が原因で受ける村八分の圧迫にも、じっと耐えていく母。田んぼで汗を流す杉村の姿は、かつての「日本の母」そのものかもしれません。

中丸美繪『杉村春子 女優として女として』(文藝春秋)で確認すると、杉村はこの年、木下恵介監督の『大曾根家の朝(あした)』にも出ており、主人公である母・房子を演じています。ちなみに、1946(昭和21)年の『キネマ旬報』のベスト10では、『わが青春に悔いなし』が2位。1位が『大曾根家の朝』でした。

中丸さんによれば、かつて軍国の母を演じた杉村が、いわば「戦後民主主義映画の代表的作品」で評価され、これ以降、数多くの「日本の良心ともいえる、毅然とした理想の母親役」を演じていくことになります。

俳優・三船敏郎、脚本家・橋本忍、そして銀座並木座・・・

一方、黒澤映画に欠かせない「男優」といえば、何といっても三船敏郎ですよね。生涯出演本数は150本。中でも黒澤明監督とのコンビで生み出された名作の数々は、今も色あせることはありません。

松田美智子『サムライ~評伝 三船敏郎』(文藝春秋)は、「世界のミフネ」と呼ばれた男の77年の軌跡を追った、初の本格的評伝です。

この本には、三船を身近に知る人たちの貴重な証言が多数収められています。殺陣師の宇仁寛三もその一人。黒澤監督の『用心棒』における壮絶な「十人斬り」では、三船の「太刀さばき」があまりに速くて、カメラで一気に追うことが出来なかったそうです。宇仁は黒澤に相談して、カットを割ってもらったというのです。

三船の役作りは完璧で、撮影現場にも一番乗りです。スタッフへの気配りも忘れない愛すべきスターは、やがて世界進出も果たします。順風満帆だった三船に苦難が押し寄せるのは、自らの会社を興し、映画製作に乗り出してからです。また女性問題や離婚騒動も栄光の歩みに影を落としました。本書はそんな三船の全体像に迫っていきます。

上記以外にも、黒澤監督&黒澤映画に関する書籍は、関連本も含めたら、それこそ山のように出版されています。

そんな中で、読んでいてゾクゾクしてくるのが、橋本忍『複眼の映像~私と黒澤明』(文藝春秋)です。橋本さんは、『羅生門』に始まり『生きる』『七人の侍』『蜘蛛巣城』『隠し砦の三悪人』などの共同脚本家として知られています。また、『砂の器』(野村芳太郎監督)などの脚本家・製作者でもあります。

この本の最大の面白さは、「シナリオ作成」という、黒澤映画が生まれる”現場”を垣間見られることです。黒澤の「テーマは理屈でなく、形の分かるもの、ハッキリ形の見えるもの」といったナマの言葉を知ることができるのも嬉しいですね。

黒澤監督作品はほとんど見ていますが、もちろんリアルタイムで見たのは途中からになります。古い作品は、学生時代、都内にいくつもあった名画座での「黒澤明特集」で少しずつ”補填”していきました。当時、「銀座並木座」でも何本かを見ています。

その並木座が配布していた無料のプログラム(懐かしい)のうち、1953年から56年までのものを収録した、復刻版銀座並木座ウィークリー編集委員会:編『銀座並木座ウイークリー』(三交社)という分厚い本があります。この本を開いてみると、54年に「黒澤明週間」、55年に「黒澤明選集」という特集をやっていました。

たとえば「選集」では、2週間で「野良犬」「羅生門」「生きる」の3本を見ることができました。しかもスクリーンで! そう、やはり黒澤映画はスクリーンで見たいものです。

『天国と地獄』をめぐって・・・

黒澤明の作品を、ずっと映画館で、まさにリアルタイムで観てきた一人が、作家の小林信彦さんです。

小林信彦『黒澤明という時代』(文藝春秋)の中に、私の好きな『天国と地獄』について書かれた章があります。この第15章「文句なしに面白い『天国と地獄』」の途中で、小林さんが熊井啓監督の『世界の映画作家3 黒沢明』(キネマ旬報)での発言を引用しています。

公開当時、『天国と地獄』での警察の扱いがおかしいと言われたようで、しかし熊井監督は「これはまったく見事なリアリズムだと思う」と述べているのです。

続けて、「黒澤が官僚的な国家権力に癒着していくあらわれたみたいなことを、若手の批評家がいったけれども、ぼくは、よくぞ描いたと思う。警察とはそういうものだ。警察が自分で自分の交番を爆破することがあるんだから」と。

そんな熊井監督の言葉をうけて、小林さんはこう書きます。「これまた極論で、黒澤明には、そうした<国家権力>観はなかったと思う」。

いやあ、面白いですねえ。熊井監督は熊井監督らしく、小林さんもまた小林さんらしい(笑)。そして、黒澤明『天国と地獄』を、また見直してみたくなるのです。


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NEWSポストセブンで、「ひよっこ」沢村一樹について解説

2017年08月20日 | メディアでのコメント・論評


記憶喪失の父役・沢村一樹 
心の変化を目の動きや表情で好演

第16週(7月17日~22日)以降、週間平均視聴率20%超えを続けているNHK連続テレビ小説『ひよっこ』。行方不明になった「お父ちゃん」が記憶喪失の状態で見つかってからは物語が大きく動きだし、有村架純(24)演じるヒロインの谷田部みね子の人生物語とともに、お父ちゃんの記憶が戻るかどうかが大きな見どころとなっている。

そのお父ちゃんこと谷田部実を演じているのは沢村一樹(50)。民放ドラマでもたびたび父親役を演じてきた沢村の今回の役は、物語の途中で記憶喪失になってしまうという難しい役どころだが、ベテランの円熟味も出てきた沢村はその役をうまく演じていると評判だ。

お父ちゃん役を好演している沢村の演技について、元テレビプロデューサーで上智大学教授(メディア文化論)の碓井広義さんに分析してもらった。
 
* * *

記憶喪失にも度合いがあると思いますが、沢村さんが演じる「お父ちゃん」の実(みのる)は、自分の名前も家族のことも忘れてしまっており、かなり重症であるように見受けられます。突如、自分の前に現れた家族を肯定も否定もできない戸惑い。もっと言えば、その奥底にある「恐怖」。自分の運命を自分でコントロールできないという、体験したことのない恐怖を演じないといけないので、難しい役であることは間違いありません。

そしてこの役をさらに難しくしているのが、記憶喪失後の実が全くの別人としてではなく、元来持っている優しさを残しているという設定です。妻の美代子(木村佳乃)や娘のみね子、そして自分を保護していた女優の川本世津子(菅野美穂)の4者が初めて対面した時は、家族に対しても、川本世津子に対しても気遣いや優しさを見せていました。

ここでは360度意識を張り巡らせている様子が視聴者に伝わっていないといけませんが、大きな演技はできません。目の動きや細かい表情だけでそれを伝えないといけない。この役を下手な役者さんが演じてしまうと、視聴者は作品そのものをどう見ていいかわからなくなってしまうところですが、沢村さんは繊細かつ大胆に演じていました。その後、自分の記憶にない話を美代子やみね子から聞いている時も、心の微妙な変化を表情だけで表現しています。

「沢村一樹ってこういうこともできる俳優だったのか」と正直驚きました。沢村さんというと、数多くの作品に出演してきた豊富なキャリアがありますが、私は個人的に、NHKのコメディー番組『サラリーマンNEO』の「セクスィー部長」のイメージが強烈にあるので(笑い)。

沢村さんがこの役をうまく演じられたのは、役者としての経験もさることながら、彼のリアルヒストリーとも無関係ではないでしょう。ドラマとは事情が異なりますが、女性週刊誌の報道によれば、沢村さん自身、少年時代に実父が借金を残して家からいなくなるという体験をしていたそうです。沢村さん自身は失踪していないが、父親が突然消えてしまった家族の気持ちがわかっている。

役の中の人格と私生活の人格は別モノとはいえ、今回の役はリンクしている部分がある。沢村さんがどう生きてきたかということは、芝居の裏打ちになっているはずです。記憶が戻らない状況でも実が家族のところに帰ることを選ぶというシーンも、いろいろな思いがある中で演じていたのだろうな、と想像せずにはいられませんでした。

奥茨城に戻った実は、農業をしながら元の生活を始めています。視聴者も、「これでゆっくりと記憶を取り戻せばいいな」と思いながら見ているでしょう。実が田植えをしながら「なんでできんだっぺ」と自分自身に驚いた時に、実の父(古谷一行)が「体が覚えてんだっぺ」というシーンも、見ていて安心させられました。

ただ、東京の川本世津子のことでまだ何かありそうだな、という波乱の余地も残しています。置き去りにされた彼女もかわいそうな人間の一人。実と川本世津子が果たして「一線を越えたのかどうか」は視聴者にとって謎ですが(笑い)、そんな“ゲスの勘ぐり”を寄せ付けないような純愛ぶりもうかがえる。仮に一線を越えていたとしても、あの状況では責められませんけどね。今後、二人の関係がどう描かれるか、それを役者さんたちがどう演じるかも注目したいところです。


(NEWSポストセブン  2017年8月18日)

書評した本: 森 功 『日本の暗黒事件』

2017年08月19日 | 書評した本たち



「週刊新潮」に、以下の書評を寄稿しました。


光を当てなければ見えない この国の“裏面史”

森 功 『日本の暗黒事件』

新潮新書 778円

ノンフィクション作家・森功の新著『日本の暗黒事件』には10の重大事件が登場する。最も古いのが1970年の「よど号」事件。逆に近いのは98年の和歌山毒物カレー事件だ。その間を埋めるようにロッキード事件(76年)、三井物産マニラ支店長誘拐事件(86年)、神戸連続児童殺傷事件(97年)などが並ぶ。

いずれも事件の当事者を軸に、その経緯が的確にまとめられている。中でも興味深いのがグリコ・森永事件(84年)だ。著者はリアルタイムで事件に接してはいないが、時効になるまで取材を継続してきた。浮かび上がるのは、「かい人21面相」が仕掛けた策略や罠の巧緻さであり、引っ張り回された警察の醜態である。

消費者を人質にしたこの無差別テロの後、広域捜査の陣頭指揮を警察庁が執るようになった。余談だが、事件発生時の森永製菓社長令嬢が、現在は首相夫人というのも奇遇だ。

著者は本書を「日本社会に潜んできた悪玉が引き起こした裏面史」だと言う。さらに暗黒事件は「姿を変えてときおり闇のなかから顔を出す」と。光を当てなければ見えない歴史的連続性がそこにある。

毎年9月に新入生を対象とした特別講座が開かれる。今年の1年生の大半は1998年生まれで、本書が扱う全ての事件は想像するしかない歴史上の出来事だ。彼らにこの本を推薦しようと思う。そのためにも各事件についての参考文献や関連書籍の一覧があると有難い。改訂の際には、ぜひ。

(週刊新潮 2017年8月10日号)

新たな「三谷幸喜」「クドカン」を探せ! 『下北沢ダイハード』は、深夜の「小劇場フェスティバル」!?

2017年08月18日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム


80年代の「下北沢」

プロデューサー時代に、『健康クイズ』(フジテレビ系)という番組を手がけたことがあります。80年代半ばのことで、タイトルにはクイズとありますが、「当たった」とか「外れた」とかの得点争いを見せたいわけではなく、あくまでも健康情報の提供が狙いでした。

「下北沢」という街に、最も頻繁に通っていたのは、この頃です。『健康クイズ』の構成作家をお願いしていたのが、「WAHAHA本舗」主宰者の喰始(たべはじめ)さんでした。

当時の喰さんは、数年前に「WAHAHA本舗」を立ち上げたばかり。しかも公演の会場として、小劇場演劇専用の「下北沢ザ・スズナリ」をよく使っていました。資料を届けたり、台本の原稿を受け取ったりするために、たびたび下北沢まで出かけていきました。

そのおかげで、「WAHAHA本舗」の初期、『底ぬけ』や『御不幸』などの公演はほとんど観ています。立ち上げメンバーには柴田理恵さん、久本雅美さん、村松利史さん、佐藤正宏さんなどがいました。そうそう、渡辺信子さんという女優さんも面白かったですね。

喰さんと打ち合わせをしていると、時々お茶を出してくれるのが、20代だった久本さんや柴田さんでした(笑)。

その後も、本多劇場などで、ご贔屓の劇団の芝居を観てきましたが、「下北沢」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、ヤケクソのように笑いのエネルギーを発散していた、80年代の「WAHAHA本舗」の舞台です。


深夜の「小劇場フェスティバル」!?

ドラマ24『下北沢ダイハード』(テレビ東京系)は、いわば今期ドラマにおける“企画大賞”です。テーマは、演劇の街である下北沢を舞台にした「人生最悪の一日」。脚本は小劇場の人気劇作家11人による書き下ろし。深夜のテレビ空間に現出した「小劇場フェスティバル」みたいな、わくわくする“お祭り感”があるのです。

これまでに4話が放送されてきました。

第1話「裸で誘拐された男」の脚本は、演劇チーム「TAIYO MAGIC FILM」の西条みつとしさんです。SM趣味の国会議員・渡部(神保悟志)が、女王様(柳ゆり菜)の命令で全裸のままトランクに詰め込まれる。ふとした手違いで、そのトランクが紛れ込んだのは「誘拐事件」の現場でした。身動きできないまま、「こんな姿で文春にでも出たらアウトだあ」などと、あせりまくる全裸の国会議員がおかしかったです。

第2話「違法風俗店の男」の脚本・演出は、ユニット「男子はだまってなさいよ!」の細川徹さんです。ドラマ『バイプレイヤーズ』と同様に、光石研が「俳優・光石研」を演じるという仕掛け。公演前の空き時間に入った風俗店で、光石は警察の手入れに遭遇します。さあ、大変。光石の脳内を、テレビ番組『実録 警察庁24時!!』の映像が駆け巡り、カメラの前でオロオロする自分を想像して、愕然となります。どうやってこの状況を脱したらいいのか。光石は起死回生のアドリブ勝負に出ます。

第3話「夫が女装する女」を書いたのは、劇団「サンプル」を主宰する松井周さん。主人公は、女装癖の夫(野間口徹)をもった妻(麻生久美子)でした。ママ友たちとおしゃべりしている喫茶店に、女装した夫が入ってきます。「あの人、女装してるよね」などと興味津々なママ友。「もしもバレたら」と気が気ではない妻。この回では、麻生久美子のコメディエンヌとしての芸を、存分に堪能することができました。

第4話「夜逃げする女」の脚本は、劇団「ブルドッキングヘッドロック」の主宰者、喜安浩平さん。主な登場人物は、須田類(緒川たまき)と椎名照美(酒井若菜)。2人は下北沢で古着屋を共同経営しています。ただし、店は繁盛しておらず、閉店の危機にありました。ある日、照美の元恋人のオッサンが現われ、結婚するか、貸した300万円を返すか、どちらかを選べと迫ります。類は思わずブーツで強打。男は動かなくなってしまいます。彼女たちの「しもきた愛」と、懐かしい下北沢へのオマージュに満ちた1本でした。


新たな「三谷幸喜」や「クドカン」を探せ!?

おもて表紙とうら表紙のような形で、各回のドラマをつなぐのは、スナックのカウンターをはさんで会話する、常連客の古田新太さんとママの小池栄子さんです。何をやっているのかは不明だけれど、いかにも自由業という風体がおかしい古田さん。そして和服と笑顔の奥に、どんだけの“過去”を隠し持っているのかが読めない栄子ママ。

「こういう感じのスナック、あったよなあ」と思わせる店内。いまは消えてしまった、あの「開かずの踏切」が健在だった頃の下北沢の雰囲気です。この街で芝居を見た後、そのまま帰るのが惜しくて立ち寄った店で、ママと常連客の「ここだけの話」を聞いているような、奇妙なデジャヴ感があります。

80年代、下北沢や新宿の小さな劇場で、よくお見かけしたのがフジテレビのプロデューサー、横澤彪(たけし)さんでした。そして、当時の横澤チームとも言うべき、「ひょうきんディレクター」の何人かとも、たびたび遭遇しました。テレビの第一線の作り手たちが、忙しい仕事の合間をぬって小劇場にもしっかり足を運び、それこそ「面白いヤツ」を自分で見つけようとしていたのです。

劇団「東京サンシャインボーイズ」の三谷幸喜さん、劇団「大人計画」のクドカンこと宮藤官九郎さんなど、演劇人であると同時に、テレビドラマの優れた書き手でもある人たちがいます。

『下北沢ダイハード』に参集した、11人の「劇作家」の中から、第2、第3の三谷幸喜やクドカンが登場してくるかもしれません。そんな「先物買い」の楽しみもまた、このドラマの隠し味になっています。


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Nスペ「原爆死~ヒロシマ 72年目の真実~」が伝えた新事実

2017年08月17日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載中のコラム「TV見るべきものは!」。

今週は、Nスペ「原爆死~ヒロシマ 72年目の真実~」について書きました。


NHKスペシャル
「原爆死~ヒロシマ 72年目の真実~」
地元放送局が取り組んだ「圧焼死」の実態

鎮魂の8月。今年もまた何本もの終戦特集が放送されたが、6日のNHKスペシャル「原爆死~ヒロシマ 72年目の真実~」は、地元の広島放送局による力作だった。

広島市が、昭和20年8月6日から現在まで続けてきた「原爆被爆者動態調査」がある。それは55万もの人たちが、どこで、どのように被災したのかを知る貴重な手掛かりであり、他に類を見ない「戦災ビッグデータ」だ。

番組では、被災者ひとりひとりの死亡日、場所、死因、火災の状況、気象、原爆の絵、そして取材情報などを航空写真と重ねていく。すると、被災者がどのように命を奪われていったのかが浮かび上がってきた。「原爆による死」の可視化だ。思わず息をのむのは、倒壊した建物の下敷きとなり、生きながら焼かれる「圧焼死」の実態だ。

当時16歳の女学生だった女性は、級友の助けを求める声を聞きながらも、迫る火災の炎に追われて置き去りにしたことを悔やみ続けていた。また即死を免れたものの原爆特有のやけどで命を奪われた人や、放射能を帯びた粉塵を吸い込んで内部被ばくした人など、解明されずにきた「原爆死」の多さに驚く。

長引く苦痛をもたらす爆弾として、軍事目的より一般市民を苦しめる効果をもっていた原爆。番組が伝えた新事実をどう受けとめ、生かしていくかは私たち次第だ。合掌。

(日刊ゲンダイ 2017.08.16)

さて、問題です! クイズ番組で「時代の空気」を感じさせた『ひよっこ』

2017年08月16日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム



NHK朝ドラ『ひよっこ』の放送も、あと1ヶ月半となりました。ヒロインの谷田部みね子(有村架純)が東京に来るきっかけは、父親の実(沢村一樹)が、出稼ぎ先の東京で行方不明となったことです。

その実もようやく見つかり、過去の記憶を失った状態とはいえ、先週、故郷の奥茨城に戻ることができました。妻・美代子(木村佳乃)たちと暮す中で、ゆっくりと記憶が戻るのではないでしょうか。


『勝ち抜きクイズ3Q』のオンエア

今週放送されているのは、ドラマの時制では1967年(昭和42年)6月11日(日)の出来事です。この日、向島電機の乙女寮で一緒に暮らしたメンバーのうち、秋田に嫁いだ優子(八木優希)を除く全員が、みね子や時子(佐久間由衣)たちのアパートに集まりました。

各人が近況報告をした後、豊子(藤野涼子)の提案でテレビのクイズ番組を、みんなで見ることになります。実はこのクイズ番組『勝ち抜きクイズ3Q(サンキュー)』に、豊子自身が出場していたのでした。しかも、司会者は本物(!)の押阪忍さん。ご本人が「司会・押阪忍」の役柄で登場です。

押阪さんといえば、『ベルトクイズQ&Q』(TBS系)が懐かしい。放送は1969年からで、その3年後から押阪さんが司会を務めるようになりました。『3Q』は、『Q&Q』と同様の「対戦型勝ち抜き早押しクイズ」です。

ちなみに、1967年(昭和42年)6月時点で、実際に放送されていたクイズ番組としては『アップダウンクイズ』(毎日放送制作)があります。63年の放送開始で、10問連続正解すれば、「ハワイ旅行」がゲットできました。

『3Q』も3人を倒せば、「賞金30万円」と「ペアでハワイ旅行」がプレゼントされます。この頃はまだ、「ハワイ旅行」は結構な高嶺の花だったんですね。


クイズとテレビと「時代の空気」

結果的に豊子は見事3人に勝つのですが、このクイズ番組の「出題」がなかなか秀逸でした。

『ベルトクイズQ&Q』でも、『アップダウンクイズ』でも、知識・雑学系の問題にまじって、時事ネタともいえる問題が出題されました。

この日の『3Q』では、「昨年、たった1球投げただけで優勝投手になった、中日ドラゴンズのピッチャーは誰でしょう?」という問題が出ました。正解は「板東英二」です。

最近だと、板東さんがプロ野球投手だったことを知らない世代も多くなりました(笑)。私が所属していたテレビマンユニオン制作の『世界・ふしぎ発見!』(TBS系)に、板東さんが出演されるようになるのは、このときの中日優勝から約20年後のことです。

で、また別の問題は、「昨年、紅白歌合戦に初出場した加山雄三さんが、作曲家として活動するときの名前は?」。今年80歳の「若大将」が、本当に若かった頃ですね。この答えは「弾 厚作(だん こうさく)」。

さらに、「落語『授業中』で大人気の噺家・三遊亭歌奴(うたやっこ)。鉄道局時代、駅員を務めていた駅は?」ときて、正解は「新大久保」。歌奴とは、後の3代目三遊亭圓歌師匠ですが、今年4月に88歳でお亡くなりになりました。当時は「山のアナ、アナ・・・」が大うけで、テレビ局をハシゴしていたはずです。

他にも、「おととし、日本公開のミュージカル映画『メリーポピンズ』の中で・・」とか、「山本リンダさんのヒット曲『こまっちゃうナ』。1番の歌詞で・・」とか、時代感満載の出題が続きました。

みね子たちがこのクイズ番組を見ているのは、向島電機の先輩だった愛子(和久井映見)の部屋。そして、テレビはモノクロ(白黒)です。一方、秋田の嫁ぎ先で優子が見ているのはカラーテレビです。

この時代、まだカラー放送の番組は多くなく、高額商品であるカラーテレビも十分に普及していませんでした。

とはいえ間もなく、ソニーの「トリニトロンカラー」だの、松下の「パナカラー」だのといったカラーテレビが、続々登場してくるようになります。そんな「カラーテレビ前夜」のこの国の様子を垣間見せてくれたわけです。


クイズ番組と日本人

一昨年の夏、2000回を迎えたのは『パネルクイズ アタック25』(朝日放送制作)。スタートが1975年ですから、今年で42年にもなります。

また前述の『世界・ふしぎ発見!』も、昨年が30周年でした。いずれも視聴者の支持があってこその長寿番組です。

思えば、日本人はずっと、かなりのクイズ好き、クイズ番組好きでした。そこには、日本人の真面目さや勉強好きといった側面があるように思います。日本人にとって、クイズ番組は「娯楽」であると同時に、バーチャルな「教室」として捉えられてきたのかもしれません。

代表例としては、80年代の人気番組『クイズ面白ゼミナール』(NHK)が挙げられます。司会はメガネの鈴木健二アナウンサー。その前口上は、「知るは楽しみなりと申しまして、知識をたくさん持つことは、人生を楽しくしてくれるものでございます」でした。

1967年(昭和42年)6月11日に放送された『勝ち抜きクイズ3Q』。働きながら蓄えてきた知識を武器に、賞金とハワイ旅行を獲得した豊子さんに拍手です。実家の借金も解消できたようだし、よかったね。


ヤフー!ニュース連載「碓井広義のわからないことだらけ」
https://news.yahoo.co.jp/byline/usuihiroyoshi/

【気まぐれ写真館】 戦後72年8月15日 合掌

2017年08月15日 | 気まぐれ写真館
今年は曇天の8月15日

【気まぐれ写真館】 ふるさとの山に向ひて・・・

2017年08月15日 | 気まぐれ写真館
ありがたきかな

書評した本: 桐野夏生 『デンジャラス』ほか

2017年08月15日 | 書評した本たち


「週刊新潮」に、以下の書評を寄稿しました。

桐野夏生 『デンジャラス』
中央公論新社 1728円

素顔の文豪・谷崎潤一郎を描く長編小説。語り手に、谷崎の妻・松子の妹である重子を起用したことが最大の特色だ。『瘋癲老人日記』のモデルにもなった義理の息子の嫁、渡辺千萬子に対する谷崎の入れ込みようが尋常ではない。やがて重子は谷崎と対決することを選ぶ。


森 達也 『不寛容な時代のポピュリズム』
青土社 1836円

安倍政権もトランプ大統領も「民主主義」が生み出したことは事実だ。それを単にポピュリズムと指摘するだけでは何も変わらない。著者はポピュリズム生起のメカニズムを踏まえ、政治から社会現象までを解読していく。「私的ドキュメンタリー史」も刺激的だ。

(週刊新潮 2017.08.03号)

まほろ駅前から下赤塚へ。瑛太×大根仁監督の脱力系探偵物語『ハロー張りネズミ』

2017年08月14日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム



演出家の名前だけで、そのドラマを「とりあえず、見てみれば」と自信をもって言える一人が、大根仁監督です。ただし、決して「万人向け」ではありません(笑)。

遠藤憲一さん主演の『湯けむりスナイパー』、森山未來さんの『モテキ』、瑛太さんと松田龍平さんの『まほろ駅前番外地』、そしてオダギリジョーさんの『リバースエッジ大川端探偵社』などの作品歴は、マニア心を微妙に揺さぶります。

今期、大根仁監督の新作が『ハロー張りネズミ』です。まほろ駅前発、大川端経由、下赤塚への道をたどってみました。


『まほろ駅前番外地』テレビ東京系

2013年に放送された『まほろ駅前番外地』は、それ以前に映画化された『まほろ駅前多田便利軒』(原作・三浦しをん)の続編を連続ドラマにしたものでした。

キャストは映画と同じ瑛太さんと松田龍平さん。瑛太さんは東京郊外の「まほろ市」(モデルは町田市)で便利屋をやっています。その中学時代の同級生(当時はそれほど親しくなかった)で、事務所に居候しながら仕事も手伝っているのが松田さんです。

その仕事ですが、たとえば地元のプロレスラー・スタンガン西村(静岡プロレス出身のスタンガン高村さんがモデル)から、引退試合の相手になることを依頼されます。細身の瑛太さんと松田さんが覆面レスラーを務めるだけで笑えましたが、物語は大人の男を泣かせる展開となっていきました。

このレスラー代行の話は、2冊の原作本にはありません。脚本も兼ねる大根仁監督のオリジナルストーリーです。ワケあり男2人の微妙な距離感だけでなく、周囲の人たちとの関係から生まれる空気感も、実に心地良いものでした。

また、このドラマにはいわゆるヒロインがいません。別のテレビ局が作ったら、若手人気女優を投入したに違いありません。しかし、それでは“脱力系相棒物語”という特色が薄まってしまいます。「これでいいのだ!」の大根ドラマでした。


『リバースエッジ大川端探偵社』テレビ東京系

『リバースエッジ大川端探偵社』が放送されたのは2014年の夏。当時、一週間の仕事を終えたオトナの男が、金曜の深夜に見るべき番組として、これほどふさわしい1本はありませんでした。なにしろ大根仁監督とオダギリジョーさんが、探偵物で組んだのですから。

とはいえ派手な立ち回りなどないし、緊迫の尾行も退屈な張り込みもありません。あるのは少しの聞き込みくらい。ドラマのキモは、オダギリ探偵の茫洋感と、依頼人と調査対象の切ない関係性でした。

探偵が探し出すのは、見知らぬ男と3日間を過ごした「幻の女」。また売れない芸人に差し入れしてくれる「謎の女」。さらに気弱な高校生を救ってくれたかつての「女番長」など、極めて個人的で、どこかトホホな事情の案件ばかりでした。

しかし、見る側は不思議な安堵感に包まれます。人間、誰しも忘れられない人がいるものですから。でも、再会してハッピーな場合も、その逆もありますよね。

オダギリ探偵はもちろん、石橋蓮司さんの探偵事務所所長、小泉麻耶さんの受付嬢(夜のバイトと掛け持ち)にも、一度会いに行きたくなるドラマでした。


『ハロー張りネズミ』TBS系

瑛太さん主演の金曜ドラマ『ハロー張りネズミ』は現在放送中。島耕作シリーズなどで知られる弘兼憲史さんの原作漫画は、1980年代の作品です。

何度か映像化されていますが、再び「実写」で見られるとは思いませんでした。しかも演出・脚本が大根仁監督で。

「あかつか探偵事務所」は、東京の下赤塚(東武東上線)にあります。所長の風かほる(山口智子さん)、調査員の七瀬五郎(瑛太さん)と木暮久作(V6の森田剛さん)。3人だけの小さな所帯です。それでも、いや、それだからこそ大手が請け負わない「こぼれ仕事」や「汚れ仕事」が回ってきます。

第1話に登場したのは交通事故で娘を失った男(伊藤淳史さん)。同じ事故で危篤状態の妻に、娘の元気な姿を見せたいというのが依頼でした。五郎たちは、その娘によく似た女の子を求めて奔走します。

また第2話では、自殺した(実は殺された)父親(平田満さん)の汚名をそそごうとする娘、四俵蘭子(深田恭子さん)が現れました。こちらは前後編で、爆破シーンもある豪華版。深キョンの“謎の美女”ぶりも楽しめました。しかもこの蘭子さん、第3話で、あかつか探偵事務所に“就職”しちゃったのです。

瑛太さんはいつもの瑛太さんで(いや、そこがいいのです)、森田さんと山口さんは大根演出のおかげで、笑える“ヤンチャ感”が出ています。さらに情報屋がリリー・フランキーさん、平田満さんの右腕だった男が吹越満さんといった、エッジの効いたキャスティングも大歓迎。

いわば脱力系探偵物語である『ハロー張りネズミ』。昨年の映画『SCOOP!』同様、猥雑さや品の無さを作品のエネルギーに転化させていく、「大根マジック」全開の一本となっています。

碓井ゼミ、軽井沢での「夏合宿」終了! 

2017年08月12日 | 大学






















碓井ゼミ、軽井沢で夏合宿中! その3

2017年08月11日 | 大学























碓井ゼミ、軽井沢で夏合宿中! その2

2017年08月11日 | 大学

































碓井ゼミ、軽井沢で夏合宿中! その1

2017年08月10日 | 大学