
世の中にカラー写真がまだ出現しない白黒(モノクロ)写真時代
、
家族の記念写真を撮る人が,町の写真機店(DP店)に撮影済みのフィルムを持ち込みます。
店長は、暗室で早速,フィルム現像をします。
現像液の入った深い筒にフィルムを錘のクリップで
ぶら下げて現像します.
夕方,乾燥したネガフィルムを暗室で,
店長は引伸機(ひきのばしき)で印画紙にプリントします.
現像処理を済ませた濡れたプリント印画紙を
回転フェロタイプ乾燥機で光沢のプリントに仕上げます.
翌日,ネガとプリント印画紙をお客さんに渡します.

これは普通の記念写真が出来上がるまでの手順でしたです。
銀塩カラー写真が出現して、DP店でなくては
自分で暗室処理ができにくくなりました.
ついこの間まであちこちにDP店(写真機店)はありました。
世の中が銀塩カラー、白黒カメラから
デジタルカメラになってしまいました。
先見の明でいち早くデジタル対応のDP店に
チェンジした店、以外、閉店になってしまいました.
… … …
携帯電話の普及で、あちこちの公衆電話がなくなったのに似ています.

白黒写真を趣味にしている人は、写真の仕上げは自分でするのが普通でした.
私の高校時代のころ、家の押し入れを暗室代わりに使っていました.
引伸機は、藤本ラッキーの2Bより少し小型の
ラッキージュニアを使っていました.
引伸レンズは,たしか、ラッキー50㍉、F4・5です。
2L判(キャビネ判)で仕上げていました.
印画紙現像液はD72でした。
押し入れに、八つ切バットを3枚並べて
印画紙現像していました.
グロッシーの印画紙を使っていましたが
フェロタイプ仕上げはしませんでした.
半光沢の印画紙もよく使いました.

現像薬もいちいち現像主薬から上皿天秤で計量して作っていました.
そのうち、調合済みの缶詰の薬品をそのまま微温湯で溶かして使う
便利なものが出ました
、
既成の印画紙現像薬「コレクトール」を使うようになりました.
… … …
フィルム現像もいちいち調合していました.D76です。
これも調合済み缶詰が出てきました.
フジフィルムの「ミクロファイン」「フジドール」「パンドール」
アグファの「アトマール」
コダックの「マイクロドール」
イギリスの「プロミクロール」
など、いずれも白黒フィルム現像薬です.

趣味の写真は,全部自分で処理するというのが
当たり前でした.
… … …
まだ、カラー写真は出現していません.
