
N君の親父さんが数量にかかわらず受け取ってきたネガフィルムを現像して,
約束の時間に手札(L判)に仕上げなくてはなりません。
時間に間に合わなければホテルのアメリカ兵は、
受け取れないまま,帰国しなくてはなりません.
暗室の中で仕事をしている私たちは、時間に追われていました。

引伸し印画紙には,
2号(軟調)→3号,4号(硬調)とあります。
… … …
趣味の写真で時間をかけてプリントするときは,
軟調(2号)の印画紙をなるべく使います.
しかし,コントラストの低い眠たい調子の
プリントになることがあります。
そこを何とか,工夫をして再度挑戦します.
… … …
時間に追われた仕事では確実にプリントしなくてはなりません.
引伸機で固定マスクに投射した反転したネガの調子を見て,
2号か3号か瞬間に決めます.
間違いなくプリントするには,
3号の方が良いのですが,
これは好みの問題かもわかりませんが
、
少しプリントの調子が固くなります

.
このアルバイトが終わるころには,
プリントのスピードが随分早くなりました.
プロの写真機店の暗室の仕事が経験できたのですから
ありがたいことでした.
… … …
現像バットの隣のショートストップのバットに印画紙がたまると,
大きな定着液のバットに移します.
プリントが定着液のバットに沈むと,少し刺激のある臭いがします.
印画紙の感光していない銀塩が流されて,
プリントのコントラストがついて、
黒の締まった調子になります.
最後の仕上げの水洗で、一層調子が出てきます.

バライタ印画紙の種類は,グロッシー(光沢面)のほかに
微粒面,半光沢などありますが、水洗時間が短くて,
回転乾燥機で短期間に仕上がるので,
急ぎの仕事や,写真機店の仕上げでは,
特に注文しない限り,グロッシーで仕上げます。
グロッシーに比べて,微粒面,半光沢のプリントは,
軟調の仕上がりになる傾向があります。
