カメラのレンズを前からながめると表面が,
琥珀色をしています.
これは、レンズ表面にコーティング処理がされているからです。
光がレンズを通るとレンズ表面で光がいくらか反射します。
反射した分、通過する光量のロスになります。
複雑な構成のレンズでは内部での反射による
フレア、ゴーストの発生が生じます.
これを防ぐために、レンズ(内部のレンズも)にコーティングを
施して不必要な反射を防ぐようにしています。
わたしが「写真研究会」に入部した時分のカメラのレンズは
単層膜コーティング(モノ・コーティング)でした.
レンズを見ると,紫がかった青い色をしていました.
レンズが青く見えるのは,青い光がレンズから反射して
カラーフィルムに十分到達(青い光が)していない
という理屈になります。
青く見えるコーティングレンズで撮った写真は
赤味を帯びるということになります。
… … …
やがて蒸着技術の向上ととも1952年、
千代田光学(後のコニカミノルタ)によって
世界初の「アクロマチック・コーティング」が開発されました。
その後、カラーバランスを保つのに有利な
重層膜コーティングが主流となっていきます。
最初,コーティングレンズが発売されたとき、
レンズの表面を布で拭くと
,
「ズルッ…とはがれる」
と噂が流れました.
… … …
その後、ハードコーテッド、ウルトラ・ハード・コーテッドと
いう強化したコーティングを施したレンズが出現しました.
少々,乱暴にレンズを拭いてもキズがつかないというのですが、
レンズは,触るものではないとカメラマンの意識が徹底して,
レンズの指紋が付いたりしないように、
レンズ保護用に色彩再現に無害な
UVフィルターをかけるようになりました.
UVフィルターをかけたレンズで写真を撮るのは,
ガラス越しのウィンドウを覗いているようなものだから、
フィルターを外して写真を撮ろうというカメラマンがいました.
… … …
私は,それほどシビアな写真愛好者ではありません.