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■【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】5ー05 一目瞭然 見せ方で結果が大きく変わる ~ 一見するだけで、誰でもがはっきり解る ~

2025-01-25 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

  ■【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】5ー05 一目瞭然    見せ方で結果が大きく変わる ~ 一見するだけで、誰でもがはっきり解る ~   


 
  四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
 経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
 四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
 以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。

第5章 表現上手で説得力を向上
 世の中には、作家でなくても美しい文章を書いて、読者を魅了できる人がいます。アナウンサーでなくても、話し上手な人もいます。プロのナレーターでありませんのに、聞いているだけでほれぼれするような声や話方の人もいます。パワーポイントを使って、難しいことをわかりやすく説明してくれる人もいます。
 「話し上手は、聞き上手」という言葉を良く聞きます。「一を聞いて十を知る」という理解力の高い人もたくさんいらっしゃいます。一方、相手の言うことを充分に理解できなかったり、誤解したり、時には曲解したりして人間関係をこじらせてしまう人もいます。
 情報提供側として、上手な文章を書いたり、話したり、パワーポイントなどの作図技術など表現力を豊にしたいと願う一方、それとは別の立場で聴取する側におかれたときに、傾聴力をフルに活用し、相手の言いたいことを正確に聞き取れることは、私たちの日常に不可欠です。コミュニケーション上達法を四字熟語から感じ取りましょう。
 5ー05 一目瞭然    見せ方で結果が大きく変わる
      ~ 一見するだけで、誰でもがはっきり解る ~


「疑心暗鬼」は、人間関係を悪化しかねません。その対策の一つが「一目瞭然(いちもくりょうぜん)」です。「瞭」は、「明瞭」という熟語からも解りますように「はっきりしている様」を指します。「然」は、「自然」という熟語からも「ぜん」と読むのが一般的で、前に来る言葉をあわせて「状態を表す語」です。「紳士然としている」というような用例に見られる使い方です。因みに「然」を「ねん」と読むのは呉音読みです。「一目」は、そのまま「一目見て」という意味ですので、「一目瞭然」というのは「一目見ただけで、誰でもがはっきり解る」ことを指します。
 近年は、セミナーなどに行きますと必ずと言っても良いほど、プレゼンテーション・ソフトを利用している場に臨みますし、プレゼンテーションをする機会も多くなっていると思います。「一目瞭然」としたパワーポイント制作もあれば、わかりづらいものもあります。
 用いる言葉も、親しみやすい言葉を使い、難しい専門用語や横文字はできる限り控えます。幼稚園の子供でも解る言葉ということをしばしば私は使いますが、そのくらいやさしいことばでという意味で、内容やレベルを軽視しろというのではありません。
 あまり受けが良くなかったセミナー等の経験では、受講者と講師側が言いたいことにずれがあるときです。事前に打ち合わせをしていても、お恥ずかしながら、このようなことが起こってしまうことがあります。受講者の多くが事例紹介を求めています。自分の体験から紹介するようにします。受講者に合わせてるためには、パワーポイントはシンプルに作っておくと良いでしょう。単純で要旨を理解されやすいというメリットもありますが、受講者にあわせてレベルを変更したり、内容を雰囲気に合うように変えながら話をしたりしやすいからです。
 反応が良くない場合に、こちらに注意を強く引くためには、意外性ある事例を紹介したり、体験談を挿入したりして関心を引きつけるようにしてみてはどうでしょうか。反応が今ひとつ好ましくないときには、途中であっても、この後のストーリー展開を話してしまう方法があります。それにより、次のどの様な話の展開になるのかに関心を持ってもらえますと、目先の話がこれからどうなるのか、耳を傾けてくれます。
 セミナーなどでは、主催者が最後にアンケートを採りますが、印象的なクロージングを用意しておきます。大きな声では言えませんが、それにより最後は拍手喝采となり、アンケートのポイントも上がるかもしれません。その結果、次の講演依頼に繋がる確率が高くなります。
 昨今、セミナーでパワーポイントが使われないことはないと言えるほど、定着しています。私も職業柄、パワーポイントなしでは仕事になりません。一方、パワーポイントなしでも上手に人前で話のできる人に出会いますと、それだけで敬意を払いたいほどの感動を覚えることがあります。他方、セミナー等では、いろいろなレベルの人が受講されますので、できる限り多数の人に、多くを理解してもらうことを最重要課題の一つと考えています。
 相手の心に届くプレゼンテーションといいますと、二〇二〇年オリンピック招致の開催を勝ち取った東京の招致チームが活躍したことはまだ記憶に新しいです。スピーチライターに、ニック・バーレーを、プレゼンテーションにマーティン・ニューマンが起用され、聴衆に訴えかける伝え方が功を奏しました。
 プレゼンテーションとは異なりますが、裁判で、誰が見ても有罪判決が出るだろうと思っているにもかかわらず、予想外の判決が出ることがあります。弁護士の入念な準備と雄弁さが、このような結果を導く例と考えます。とりわけ印象的だったのが、片足を失った女性アスリートの感動的なスピーチでした。「癌で脚を失った」という言葉の後に四秒の沈黙があり、「絶望しました」と続きました。沈黙は金という言葉がありますが、スピーチとしては、ベストな仕上がりであったと思いました。
 因みに、雄弁な人を形容する言葉として「懸河之弁(かんがのべん)」という言葉があります。「懸河」は、「つるし懸けたように水が奔流する川。急な早瀬の川(広辞苑第六版)」という意味ですので、「とうとうと流れる大河のように、よどみなくスラスラと話す」という意味です。「一瀉千里(いっしゃせんり)」という類語もあります。「文章や弁舌にすぐれ、よどみなくスラスラと行く」という意味です。
「瀉(しゃ)」という字は「水の流れ」あるいは「水が流れる」とか「水が注ぐ」という意味です。土砂災害などで、「あっという間に泥水が流れてきた」などと被災者が良く言いますが、このように一気に流れ出す様子を「一瀉千里」と言います。これが転じて「ものごとが非常に早く進み、はかどる」という意味でも使われます。こちらは「一気呵成(いっきかせい)」という類語があり、やはり「素早くものごとを成し遂げる」という場合に用います。
 経営者の集まりなどで、自己紹介をする機会があると思います。与えられた時間内に、自社の概要、特徴、強味など自社商品・サービスを要領よく、懸河之弁のごとく説明する人が多いのに驚きます。そのような人というのは、与えられた時間が、一分の時にはこのように話す、三分や五分の時にはそれぞれ何処まで話すかということが身についているのです。
 いずれにせよ、事前準備が不可欠です。私は、「1:2:3:4」の割合で準備をします。コンセプトづくりに10%の時間をじっくりかけます。ストーリー作りに20%、パワーポイント制作に30%をかけ、残りの40%をリハーサルに投じます。制作したパワーポイントをストーリー展開に合わせてアニメーションで構成し、リハーサルをしながら、動作確認をするのです。この過程がストーリーが記憶に焼き付けることに繋がりますので、赤面症の私でも人前で堂々と話すことができるのではないかと思います。
 事前準備の一つとして、配付資料があります。資料と話す順序が一致しますと、プレゼンターも受講者も安心していられます。事前準備ができていますので話し始める前に「準備万端」と自分に言い聞かせ、「失敗しないか」という気持ちを起こさせないようにします。リラックスした姿勢で、脚を肩幅に拡げて立ち、身体を安定させて話し出しますと気持ちが落ち着きます。その後は、息をゆっくり吐きながら話すと喉の準備状態が万全となり酸素が自然と取り込めるようです。
 早口にならず、ソフトな声を出すようにしますと、自然とジェスチャーが出てきましたり、直立していた姿勢が、動きと共になめらかになってきたりします。自分が重要だと思うところは、パワーポイントもズームアップする動きにしておけば、自然と声も大きくなります。時には、やや音量を下げて、ささやくようにしますと、受講者が身を乗り出してきます。このようにして、パワーポイントとシンクロして、発声をして行きますと、話下手な私でも「大変よく理解できました」「わかりやすかったです」というような賛辞をいただけます。
 上手に話そうとか、見栄えのするパワーポイントを制作するなど、技に走らず、自分の思いを熱く語り、思いを届けるという気持ちを忘れて欲しくないのです。
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