■■杉浦日向子の江戸塾 - 江戸情緒に学ぶ 火事と隠居がつくり上げた文化 35
江戸のエコや風俗習慣などから、現代人は、エコという観点に絞っても学ぶところが多いと思っています。杉浦日向子の江戸塾から学ぶところは多く、話のネタとなります。エッセイ風というと大げさになりますが、独断と偏見で紹介してみたいと思います。
私がはじめて杉浦日向子女史を知ったのは、「お江戸でござる」というNHKの番組でした。お酒が好きで、飾らない人柄、江戸時代に生きていたかのような話しぶり、そこから江戸のことを知ると、われわれ現代人に反省の機会が増えるような気がします。
■■ 火事と隠居がつくり上げた文化 35-61-1308
江戸時代も後期に入ると、流行の源は役者から広まりました。
それまでは「十八大通」といった通人を気取ったお金持ちがファッションを自分で工夫をした時代がありました。
成金のまねを皆がしたのです。とりわけ、成金の二代目、三代目あたりがねらい目で、相当な贅沢をいていたようです。
「何の役に役にも立たない贅(ぜい)」がおしゃれの極致だったようです。
これを見ても解るように、江戸の文化は商人あっての日本文化であることが解ります。ただし現役のうちは仕事に精を出して遊びにかまけてはいません。隠居してからのことです。
江戸文化を生み育てたのは、小唄、歌舞伎、盆栽、釣りなどです。いずれも隠居さん達が育て上げたものです。隠居は死ぬまで財産管理権を持っていたので、自由になるお金がたくさんありました。今日のシルバー世代でも、江戸の隠居さんにはかないません。
換言すると隠居が江戸の文化をつくり上げたとも言えます。
江戸の「粋」や「通」の精神は、そこにあるといえますが、今ひとつ忘れていけないのが火事です。
江戸には火事が多かったということは皆さんもご存知でしょう。
立派な建物を作っても火事ですぐに焼けてしまいかねません。そこで「江戸っ子は宵越しの銭は持たねぇ」という精神が醸成されたのです。
京都には神社仏閣をはじめとした形あるモノが残っていますが、江戸はこのようなわけで形あるものではなく、「文化」を残したといえます。火事が少なくなってから本当の江戸っ子がいなくなったと言われるほどです。
江戸時代には、世界にも珍しいほど長い期間戦がなかったことも、独特の文化を花開かせることになったといえます。
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杉浦日向子女史の江戸塾は、江戸時代のエコ生活から飽食時代を迎えている我々に大きな示唆を与えてくれます。