今日9月10日は私にとってはちょっと特別な日だ。1996年のこの日に私は家内と2歳半の娘を伴ってフランスの地に降り立った。飛行機の遅れでストラスブール入りはその翌日になった。あれから25年。四半世紀が経った。異国の地で紆余曲折を経つつ星霜を重ねることになってしまった。その時の重みに比して、徒に馬齢を重ねただけの己の生のあまりの軽さに打ちひしがれる。「淀みに浮かぶうたかた」の感、うたた深まりゆくばかり。日々、その軽さに耐えて、どこまで生きながらえるのか。人麻呂歌「もののふの八十宇治川の網代木にいさよふ波のゆくへ知らずも」が自ずと心に浮かぶ。