内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

鮮烈きわまりないモーツアルト ― ソン・ヨルム演奏『モーツアルト:ピアノ・ソナタ全集』

2023-04-12 01:15:58 | 私の好きな曲

 先週「聖金曜日」(フランスではアルザス・ロレーヌ地方のみ休日)から復活祭の月曜日(Lundi de Pâques)まで四連休だった。といっても、私は後期には金曜日にも月曜日にも授業がないので、個人的には普段と変わりがない。ただ、多くの店が金曜日も月曜日もお休みになる。だから土曜日はいつになくスーパーが混んでいた。
 その四日間、前半は採点に費やされたが、後半は自由な読書ができて楽しかった。ジョギングもいつもより少し距離を伸ばして、毎日12、3キロ走った。家では、映画を観ている間以外、起きている間中、ずっと聴いていた演奏がある。それが今日の記事掲げた、ソン・ヨルム演奏の『モーツアルト:ピアノ・ソナタ全集』だ。先月発売されたばかり。
 例によってストリーミングでクラシックのテーマ別アンソロジーを流しっぱなしにしていた。そうしたら、この演奏が耳に飛び込んできた。どのソナタだったか覚えていないが、とにかく音の美しさ、リズムの溌剌さ、高音の軽やかさと低音の力強さのコントラストの鮮やさ、中音域の音色の多彩さ、おしゃれな装飾音、即興性に満ちた緩急等々、とにかく今まで聴いたことがない躍動感溢れるモーツアルトだった。
 かつてはクラウディオ・アラウの全集をよく聴き、その後はマリア・ジョアン・ピレシュの新旧の録音をときどき聴いた。ここ十年ほどは、たまにいずれかのソナタを聴くことがある程度だった。このソン・ヨルムの演奏で突然目を覚まされたかのように、モーツアルトのピアノ・ソナタの魅力を再発見できた。全曲「ブラボー!」の一語に尽きる。
 録音もきわめて優秀。少し躊躇したが、よりよい音質で聴きたいので6枚組のCDも買った。明日届く。