内的自己対話-川の畔のささめごと

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「大丈夫」の若者的な、「本来は不適切」な用法について

2023-09-04 23:59:59 | 日本語について

 2019年2月8日の記事で、若者に特徴的な「大丈夫」の用法のことを話題にした。この用法について記載のある国語辞典はまだ少ないようだ。手元にある四つの国語辞典『角川必携国語辞典』『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』『明鏡国語辞典』のうち記載があるのは最後の一冊のみ。この辞書は、誤用まで調べられることで評判になった辞書だが、その名に違わず、「大丈夫」の項に以下の説明と用例がある。

〔新〕相手の勧誘などを遠回しに拒否する語。結構。‖「『お一ついかが?』『いえ、―です』」「『砂糖は二個?』『いえ、―です』」使い方 そんな気遣いはなくても問題はないの意から、主に若者が使う。危なげがない場面で使う用法で、本来は不適切。

 まさに、我が意を得たり、である。

 ちなみに、この「我が意を得たり」を立項しているのは、『角川必携国語辞典』と『三省堂国語辞典』のみで、『新明解国語辞典』と『明鏡国語辞典』には、「意」の項にさえ、「意を得る」も挙げられていない。