内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

羽田からストラスブールまでの帰路日誌

2023-09-01 23:59:59 | 雑感

 午前零時五〇分頃に離陸したエール・フランス便は、フランスからの往路(七月一四日の記事参照)とはまったく違った復路だった。太平洋上を北上し、北方領土からカムチャッカ半島を左手にベーリング海方面へと向かい、ベーリング海峡上空を通過、北西に向かい(北半球の裏側に向かい)グリーンランドを横断、南東へと下り、北海上空を通過してオランダ、ベルギーの上空を経てフランス国内へと入った。実質飛行時間は十四時間二十分余り。ロシアのウクライナ侵攻以前の通常の空路はロシア上空を横断して十一時間前後の飛行時間だったから、それと比べると三時間以上長い。
 よく寝られたからそれほど長くは感じなかったが、飛行中、最初の二時間ほどと最後の一時間以外はずっと消灯されたままだったので本を読むのもままならず、映画を立て続けに見る気にもならず、スマートフォンにダウンロードしてあった音楽をずっと聴いていた。ただ、昨年公開されたフランス映画 Simone, le voyage du siècle にはちょっと感動した。途中何度か涙ぐんでしまった。特に、主人公である Simone Veil の若き日と壮年から晩年までとをそれぞれ演じた Rebecca Marder と Elsa Zyberstein の演技が素晴らしかった。
 シャルル・ド・ゴール空港駅では、ヴァカンスの終わりで待合広場は混雑していたがなんとか空席を見つけ、TGVを待つ間の二時間あまり溜まっていたメールの処理をする。TGVは定刻に到着した。ただ、ナント始発で、空港で下車する人も多かったが、大きな荷物を持った乗車客はそれ以上に多く、しかも車両の停車位置の表示が間違っていて、ホームは一時混乱状態に陥り、結局定刻には出発できず。しかも、私が乗車した八号車に予約したはずの二七番の席が見当たらず、しかも空席がほとんどない。検札に来た車掌に、それを告げるとあるはずだと言う。しかし、ないものはない。そう言うと、空席を見つけて座れと言う。明らかにSNCF側のミスなのに、自分の知ったことかといった調子で謝りもしない。なんとか空席を見つけて座る。次の停車駅から乗ってきた人がここは自分の席だと言う。仕方なしに別の空席を探して座る。そこには終点のストラスブールまで座っていることができた。
 駅を出ると、天気は曇、気温は二三度。先日の東京より十度以上低い。午前中に雨が降ったようで、空気が少し湿っている。駅からは自宅の最寄りの停留所 Parlement européen が終点のバスに乗る。五年ほど前にできたこの路線バスまず混むことがなく、しかも乗車時間十二、三分、路面電車を乗り継ぐよりずっと速く便利。もちろんタクシーよりはるかに安い。停留所からは大小二つのスーツケースを引きずって自宅まで十分ほど歩く。午後二時前に帰り着く。
 すぐに荷を解き、すべてを所定の位置に戻すなど一時間余りですっかり旅の荷物は片付ける。午後四時過ぎ、長旅の疲れも感じないので、ジョギングに出かける。一時間弱で十キロほど走る。
 明日から平常モード。