内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

谷川俊太郎「泣いているきみ」

2024-11-23 02:38:43 | 詩歌逍遥

 昨日の早朝は気温が氷点下まで下がりました。日中には雪もちらつきました。市内ではこれがこの冬の初雪ではないかと思います。午後、その小雪が一時間ほどで止むと、途端に青空が広がりました。
 この機を逃すべからずと、朝からずっと読んでいた博論を机上に開いたまま立ち上がり、ジョギングに出かけました。40分で6キロ走って切り上げました。
 この距離でも毎日走り続ければ、今年の年間目標の4100キロには余裕で到達できます。10月まで頑張って距離を稼いでおいたのには、11月と12月は忙しいだろうと予想していたからということもあり、あとは年末までこの調子で行けばいいのかと思うと、すごく気が楽です(ッテ、自分デ課シタ数値ニ拘束サレルトイウ「あほ」ラシサハアリマスヨ、モチロン)。
 昼の休憩時に声に出して読んだ谷川俊太郎の詩「泣いているきみ」を書き写します。

 

泣いているきみ    少年9

泣いているきみのとなりに座って
ぼくはきみの胸の中の草原を想う
ぼくが行ったことのないそこで
きみは広い広い空にむかって歌っている

泣いているきみが好きだ
笑っているきみと同じくらい
哀しみはいつもどこにもでもあって
それはいつか必ず歓びへと溶けていく

泣いているわけをぼくは訊ねない
たとえそれがぼくのせいだとしても
いまきみはぼくの手のとどかないところで
世界に抱きしめられている

きみの涙のひとしずくのうちに
あらゆる時代のあらゆる人々がいて
ぼくは彼らにむかって言うだろう
泣いているきみが好きだと


You Who Are Crying
   — Boy 9 —

Sitting beside you who are crying,
I think of the grasslands in your breast.
There where I’ve never been,
you’re singing to the wide, wide sky.

I like you who are crying
as much as you laughing.
Sorrow is always everywhere
and some day will surely dissolve into joy.

I wouldn’t ask why you’re crying
even if it were because of me.
Somewhere now beyond my reaching
you are being embraced by the world.

One single drop of your tears is inhabited
by people of all ages, of all kinds,
to whom I shall say,
“I like you who are crying.”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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