低気圧が接近中で雲行きが怪しく、時おり
強風がビルの間を通り抜けていく。
納屋橋際の栴檀(せんだん)の花が、風に大きく
揺れていた。
円空仏彫刻作品展に出ていた三体が、わが家に
戻ってきたので、玄関や居間などに飾ってあった
像と入れ替えをした。
玄関扉を開けると、真正面で不動明王が
睨みをきかせ。
その脇では、薬師如来が優しい笑みで
迎えてくれる。
靴入れの棚には護法神が控え、鋭い眼光で
邪気の侵入を防いでいる。
持ち場を譲った仏像は、新しい場所を得て
役割を果たしてくれる。
階段の踊り場には十一面観音が納まり、安全を
願って四方に目配りをしている。
居間のデスクの脇には善女竜王がいて、もっと
励めと促す。
守ってもらうのは有り難いが、家中で仏さまの
視線を感じると、意地悪や悪さが出来なく
なってしまう。