先日の「シックステット」の記事でゆうきとも師からコメントをいただいた。
特に印象に残ったのは「庄司さんやマギー師匠ならば、あえてTWOを使うことで面白くできます。
あるいは『2は今日お休みなのね…』というやり方もあるでしょう。」の部分である。
実は「2=TWO」問題(と敢えて名付けてしまおう)について漠然と考えていることがあったのである。
外国の人も真面目に「2=TWO」だと言って演じているわけではないのではないかと当初、思っていたのである。
それをゆうきとも師が明確に言語化してくださったのである。
庄司タカヒト氏やマギー師匠のような雰囲気と戦略を取る演じ方。これである。外国=ネイティブの人もこれに近い演技をしているのではと思ったのである。
以下、ホットロッドについて考えたことをまとめてみる。ちなみに保有しているホットロッドはまだ紹介しきっていない(人に貸しているのだ)ので、途中経過と受け取ってもらってもかまわない。ただ、ゆうきとも師からコメントをいただいたのが最近のことであり、そこで考えたことを早めに文章化しておきたいのである。鉄は熱いうちに打てである(注:書き始めてからちょっと時間が経ってしまったが、まあそこはお許しを。考え始めたのは直後である)。
なお、以下の文章で面白い、興味深い、賢いと思われた部分は南部信昭氏の示唆によるものであり、浅いなあと思われる部分はすべて国語屋稼業の責任である。
まずは、ホットロッドの現象自体だが、下のようなものである。
マンスリーマジックレッスンショッパーズの『ホットロッド&フォースカードセット』の説明を引用させていただく。
【現象】
スティックの上に、青、黄色、透明、赤、緑、紫 の6色の
宝石が連なっており、観客に1~6の中から数字を1つ決定してもらい
その数字に従い1つの宝石が決定されます(赤の宝石)。
おまじないをかけると、なんと、全てが赤色の宝石に変わってしまうのです!
見ての通り、決まれば非常にインパクトが強い一発ネタで
現象的にも単純明快で、現象の分かりやすさで言えば
パドルトリックの中でも格別です。
しかし、上記の通り「決まれば」…という部分に悩みを
抱えていることが事実で、道具の構造上、特定の色(数字)をフォース
しなければならないのです。
実際のところ、フォースする方法は英語のスペリングを用いる
というのが常套手段なのですが、日本人相手に演じるには
少し強引に見えてしまう可能性があるため、演じるハードルが高く
これまで手を出せなかったという方も多いことでしょう。
上記のようなトリックである。
「英語のスペリングを用いる(例:「2=TWO」)というのが常套手段」なのだが、スペリングを使うことにネイティブは慣れている。フォーサイトの『スペリング・トリック集』(カンニングシート付!)の紹介をしているマンスリーマジックレッスンショッパーズの商品説明から引用させていただくと
「海外ではスペル(単語などの文字の綴り)を使ったマジックは一般的な
ようで(マジック以外でも一般的なのか、何か遊びなどに使われる
所作なのかはよく分かりませんが)、本格的な入門書などでも一つの章として
立項されていたりするほどです。
『スペル』という単語に『魔法をかける』といった意味もあるそうで、
そんなことも関係しているかもしれません。」
「何か遊びなどに使われる」という点では、日本ではじゃんけんの「グリコ」のノリに近いか(KISSER氏の『グリコ 』はそのあたりの事情を活用した傑作である)。
「『スペル』という単語に『魔法をかける』といった意味もある」というのが説として正しいのなら「2=TWO」で自然な演出はできるだろう。
しかし、である。これをよく思わぬネイティブのマジシャンはいるのではなかろうか。カードのスーツが入っているわけではない上に1~6である。さすがに観客にフォースが気づかれるんじゃね。と思うのである。
すると、『ホットロッド&フォースカードセット』(ちなみにホットロッドはRich Hill製である)を発見したのである。
フォースカード!
これだよ。これを使うのが自然じゃね? と思ったのである。
早速入手。
よくできている。予備カードも使うとあらためもしやすい。フォースもばっちし。
やっぱこういうのを発明するネイティブもいるんやねえと思ったら、甘かった。
「考案:HIRO SAKAI」氏であった。
やっぱネイティブは「2=TWO」でいくのかねえ。
でもせっかくなので(?)ここでひとつ爆弾を投下しましょう。
そもそも数字を言わせること自体が問題ではあるのです。(^^;)
だって本来ならば色を言わせるべきですからね。あまりにも「持って回った方法でフォースを達成する」ことは、古典的なフォアエースで一つのパケットを選ばせる際に「ものすごい遠回りをする人」にも似ています。
結局はどのようなトリックにしても、演者の目的に合わせた最良のバランスを考えるしかないのです。
大げさにフォースをする、あるいは不自然に数字を数えるのもホットロッドの欠点ですね。
現象が一発ネタであるのが一番の欠点かもしれませんが。
やや個性的なフォースをするものがあったり、素材が面白いものがあったりするので、あと、何回かホットロッドの紹介は続きます。ホットロッドは小さい沼ですね。
貴重な爆弾、ありがとうございました。
m(_ _)m
フォアエースを例に出しましたけど、まだトランプの方が普通のものですし、実際に1から4の間で数字を…というメソッドは私も使います。
※無論よくあるチョイスではなく、ボブコーラーのものですが。
どうせホットロッドは渡せないのですし、仮に渡せたとしてもやはり怪しい道具です。(^^;)
演じたことはありませんが、今後もしやる機会があれば色を言わせるつもりです。
ドンピシャならばラッキーですけど、そうでなくてもマギー式で十分に面白いと思いますし、ある意味ドンピシャを越えてしまいそうな気がしています。
意外と「赤」だとドンピシャになる確率は高いのではないかと友人と話しました。
友人はいざとなれば赤方遷移の話に持ち込めば「赤」ならなんとかなるのではと冗談(ほとんどの人に通用しませんが)まじりに話し合いました。
庄司さんとは毎月ライブをしていますけど、オンラインなどでも(その動画を)なかなかシェア出来ないのはその辺の事情が大きいです。
スタイル的に動画は不向きな上に、全体を流すと必ずどこかミスがありますのでね。これは生ならば目立たないこともありますが、動画ではシビアなのです。オンラインでは長尺のライブシーンとして、いけちんさんの演技を公開していますが、ミスなしでご本人の許可をもらえる長尺動画は少ないのです。
特にホットロッドの場合は前後の会話の流れが大事そうですものね。
私の場合、一発ネタとして「シックステット」は2~3回ほどしか演じていない気がします。
手渡し可能な「THE MAGICAL HOTROD」でさえ「2=TWO」問題で演じる気が減り、1回、Rちゃんに見せたかどうか。
ホットロッド、難しいネタですね…。