【実戦・直前】
傍線部に注目しよう。
1 君を思ふ深き心のほどを御覧ぜられよ。
2 ふるさと限りなく恋しう思ひ出でらる。涙こぼるる時なり。
3 坊主なむいも寝られぬ。
4 ありがたきもの、姑に思はるる嫁の君。
5 いとけなき子を見て、思はずうち笑(ゑ)まる。
1 帝を思う深い心とのほどを(深さを)ご覧になってください(御覧くださいませ)(られよ=一語)上に尊敬語なので尊敬(仰せ「らる」など)。
なお「れ給ふ」「られ給ふ」の「れ・られ」は尊敬ではない
2 故郷が限りなく思い出される(自然と思い出す)「心理・心情+る・らる」は自発(自然とそうなること)
なお、「こぼるる」の「るる」下二段活用動詞「こぼる」の連体形の活用語尾。「こぼ」という未然形はない。
3 坊主は寝ることができない(下に打消し語のある「る・らる」の多くは可能)(「なむ~ぬ」は係り結びで連体形、連体形「ぬ」は打消)
4 めったにないもの、姑にかわいがられるお嫁さん。(BYにあたる表現があるか、補えると受身)「るる・らるる」は連体形。BYにあたるのがここでは「に」
5 あどけない子を見て、思わず微笑えんでしまう(「微笑む」=「うちゑむ」は心理)自発。「いとけなき」の「なき」は助動詞ではない。現代の助動詞「ない」につられないように。「思わず」に自発っぽさがあるよね
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【参考】
●助動詞「る・らる」について
四段・ラ変・ナ変の未然形+る
それ以外の未然形+らる
四段・ラ変・ナ変の未然形が「~a(ア段)」なのは動詞のタイプⅠで習得済みのはず。実は伏線だったのだよ。
「らる」には「RA」という具合にそれ自身にア段が含まれているのがポイント
どちらも下二段活用型である。
意味は「受身・尊敬・可能・自発」で私は「ウソカジ」で覚えた。
例文3より
● い・ぬ 【寝ぬ】(意味「寝る・眠る」)
名詞「寝(「い」と読む)」とナ行下二段動詞の「寝(「ぬ」と読む)」の複合動詞。
ナ変(往ぬ・去ぬ)と間違えないように。これを全部平仮名で書かれているときは文脈で判断する。
●いも寝【い・も・ぬ】(意味「寝る・眠る」)
名詞「い(寝)」+係助詞「も」+動詞「ぬ(寝)」
●いをぬ【い・を・ぬ】(意味「寝る・眠る」)
名詞「い(寝)」+格助詞「を」+動詞「ぬ(寝)」
●鎌倉時代以降には下に打消しがなくても「可能」のことがある。
例 冬は、いかなる所にも住まる。(冬はどんな所でも住むことができる)(徒然草)
●例文4より
「ありがたし」語源が「有り難し」で「めったにない」の意味になる
●例文5より
「いとけなし」幼い。あどけない。子供っぽい。「いときなし」とも
「うち」〔動詞に付いて、語調を整えたり下の動詞の意味を強めて〕
①ちょっと。ふと。「うち見る」「うち聞く」
②すっかり。「うち絶ゆ」「うち曇る」
③勢いよく。「うち出(い)づ」「うち入る」
※「うち」があって意味がわかりにくいときは( )に入れて無視すると良い。(「打ち」の意味がある時は( )に入れない、無視しない)
※一部、改稿。
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