2019-02-16の記事の改変。
次の文の傍線部に注目しよう
20 京より下りし時、みな人、子どもなかりき。(土佐日記)
21 「今宵は十五夜 なり けり」と思ひ出でて泣きけり。
22 「見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮れ」と詠み給ひ に けり。
【実戦・直前】
20 京から下ったとき、みんなには子どもがいなかった。
「し」「き」経験した過去。「せ・○・き・し・しか・○」の活用は絶対暗記。土佐日記=日記だから「経験」過去。
「なかり」は形容詞「なし」の「カリ活用」の連用形
21 「今宵は十五夜だなあ」と思い出して泣いた(そうだ)。
「名詞+なり」は断定。会話・和歌の「けり」は詠嘆。地の文の「けり」は原則として伝聞過去。
22 「見渡すと、春の桜の花も、秋の紅葉もないのだなあ。海辺の苫ぶきの小屋のあたりの秋の夕暮れは」と詠みなさった(そうだ)
「なかりけり」の「けり」・・・和歌内は詠嘆。上の「なかり」は「カリ活用」の連用形。
「詠み給ひ に けり。」・・・「に」完了。「けり」伝聞過去
●(上が連用形のとき)「てむ・てき・てけり」の「て」は完了♪ 「なむ・にき・にけり」の「な」「に」完了♪ 「てば・なば・てばや・つべし・ぬべし・なまし・てまし」みな完了♪(下に推量、強意かも)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【参考】
☆過去の助動詞「き」「けり」
・両方とも連用形接続。(なお、完了の「つ・ぬ・たり」も連用形接続)
・活用
き | せ ○ き し しか ○
けり | けら ○ けり ける けれ ○
・「き」・・・体験・経験の過去
・「き」の接続の例外・・・サ変、カ変
【カ変】 来(こ)+しORしか 来(き)+しORしか 例「来し方」(読み「こしかた・きしかた」)(意味は「過去」)
【サ変】 せ+しORしか
※「こ」=カ変の未然形 「せ」=サ変の未然形
・けり(伝聞過去「た」「たそうだ」・・・物語の地の文などは伝聞過去が多い。物語の「き」は会話文が多い)
(詠嘆「だなあ・ことよ」・・・会話文中、和歌中に多い)
☆三夕(さんせき)の歌(新古今和歌集の中で「秋の夕暮れ」で終わっている三首の名歌)
「寂しさはその色としもなかりけりまき立つ山の秋の夕暮れ」出典新古今集 秋上・寂蓮(じやくれん)
[訳] 寂しさを感じるのは、取り立ててどの色がそうだということもないのだったなあ。そこはかとなく寂しさが漂うよ、真木の群生する山の秋の夕暮れ時は。
「心なき身にもあはれは知られけり鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ」出典新古今集 秋上・西行(さいぎやう)
[訳] 情趣を解さない、出家のわたしの身にも、この情景のしみじみとした趣は自然に感じられたことよ。しぎが飛び立つ沢の秋の夕暮れ時よ。
※知られけり=「知る」の未然形+(心中だから)自発「る」の連用形+詠嘆の「けり」
「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋(とまや)の秋の夕暮れ」出典新古今集 秋上・藤原定家(ふぢはらのさだいへ)
[訳] 見渡すと、春の桜の花も、秋の紅葉もないのだなあ。海辺の苫ぶきの粗末な小屋のあたりの秋の夕暮れは。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます