旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

ジブラルタル~歩いて滑走路を横切る

2016-03-16 16:41:06 | イギリス

遮断機の向こうを轟音をあげたジェット機が離陸していった



 遮断機があがる。バスを降りて歩いて滑走路を横切る事にした。


 我々のスーツケースを乗せたミニバスが追い越していく 振り返ると、海抜四百二十メートルのTHE ROCKが滑走路の向こうにそびえている。



こんな風に滑走路を歩いて横断するのが日常になっている飛行場なんて、世界でもここだけではないだろうか。スペイン側が陸上封鎖してどうしても必要になって建設されたのだから、こんな事になってしまったのか?


スペインがジブラルタルとの国境を閉ざしていた1960年代から70年代にかけては、観光客がここを歩くことなどなかっただろう。


イギリス領ジブラルタルの街を出てスペイン領へ入るには、どうしてもこの滑走路を横切らなくてはならない。そういう地形なのだ。次の地図で一番上がスペイン領リネア・コンセプシオンの街。下がジブラルタル半島。間の青い部分が「中立地帯」。
その中に空港が建設された↓


ジブラルタルは1713年のユトレヒト条約でイギリスに割譲されたが、現在の空港敷地のある青色の部分は中立地帯であって、時条文に記されたイギリス領ではない、と、スペインは主張している。 青色の部分に記された年号は、イギリスが実質的に使い始めた年号になる。※拡大してごらんください


最初は庭園やクリケット場でスペインも容認していたが、飛行場をつくられてしまって困ったのだろう。 「土地の返還」を求めて、イギリスとの国境が閉ざされた。


もともと1936年に緊急用の飛行機発着場だったものが、どんどん拡張されて、いまや1600mの滑走路を持つようになってしまった。もちろん今も軍が使用している 1987年に民間利用も(スペインとの間に)合意され、現在一日3便から6便程度(季節や曜日による)の飛行機が離発着している。この日はマンチェスター、ブリストル、ロンドン、から各一便+モロッコのタンジールから一便。つまり、一日数回しかない珍しい時間にちょうど立ち会えた、というわけだ。


空港ターミナルの駐車場でミニバスからスーツケースをおろす。ここからは自分で荷物を持って国境を越えなくてはならない。係官はのんびりしたもの。国境問題るなんて感じられない。我々日本人観光客のパスポートはハンコさえ押そうとしなかった。


**スペイン側のカフェでちょっと休憩して 今日は内陸の街・ロンダを目指す。


地中海を右に見ながらしばらく走ると、ジブラルタルTHE ROCKが印象的な姿をみせていた↓



三十分以上走って、内陸への道へ入る一度は見えなくなっていたが、山道をのぼってゆくと再び水平線に浮かんでいた。


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ジブラルタル~THE ROCKの上から

2016-03-16 11:46:09 | イギリス

晴れた! ケーブルカーで登るとTHE ROCKの象徴的なカタチが楽しめた



**朝、七時。ホテル八階のダイニングから見晴らす街は黒い雲の下だった


21㎞先のアフリカのアトラス山が見える。雨が降っているのかも、朝陽に照らされたタンカーも見える。


屋上プールのまわりも濡れていたから、夜にはけっこう降っていたようである


**午前九時少し前にガイドさんと観光スタート。わずか1.6㎢の狭い半島だが見どころは詰まっている。


この写真、100t大砲のお尻がうつっているのです⇒


岩肌をくりぬいた道がたくさんつくられている この道はもともと線路のためのもの。街を建設する石を運んでいたのだそうだ。


19世紀以降THE ROCKの中は岩の中を要塞化。 地下の道の方が30マイル超と穴だらけになり、地上の道24マイルより長い。みえない地空間の方が多くなっているのだそうだ。


トンネルを抜けると斜面からどうどうと水が流れ落ちている⇒これは自然のモノではなく、海水浄化装置を使った後の排水。つまり、とても塩辛いはず。この装置が出来た1994年以前、水にはとても苦労していたジブラルタル。雨水をためたものではとても足りず、各国から輸入していた。


先端の「ヨーロッパ・ポイント」に到着↓



モスクはサウジアラビアの国王が資金を出して建設されたもの。意外な気がするが、ジブラルタルには二千人のモロッコ系住民・イスラム教徒も平和に共存している。こんなに目立たないが、彼らの日常の為のモスクも市内にある。


海抜426mの頂上部分を拡大してみると⇒砲台が設置されている。


半島の東側へ抜けるトンネルは、イギリス軍基地のすぐ横をぬけてゆくこのトンネルと並行して市内からVIP緊急避難用の直線トンネルが敷設されているのだそうだ。


東側の斜面は1990年代まで水を溜めるための装置だった すぐ近くにカタラン湾と小さな村


**晴れて日も射してきたからケーブルカーで上まで登ろう。ここはヨーロッパで唯一野生のサルがいる場所。「ポリ袋や食べ物に反応するので気を付けて。何か盗られても責任は負いかねます」 ゴンドラが動き出すと、THE ROCKとスペイン領にはさまれた街が見えてきた 



↑すごい埋め立てが行われて、マンション群がにょきにょき建っている。小松がはじめてやってきた二十年近く前とくらべても、明らかにひろくなって、景気も良いジブラルタル。失業率は一パーセント。つまり、働きたくない人以外はほぼ仕事につけるという状況。失業率二割以上のスペインとは別世界だ。


頂上に到着 また、サル注意の看板



THE ROCKの向こうにジブラルタル空港の滑走路が見える。

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