プーリア・ロマネスクの傑作のひとつに必ずあげられるトラーニ大聖堂↓
アドリア海に面し孤立した姿が印象的なのだが、なんでも二十世紀に周囲の建物を壊してこの姿に「した」のだそうだ。古い街で古いように見えるからといって12世紀からまったくそのままなわけではない。
改修されてはいても、トラーニ大聖堂がみるべき価値のある場所である。入口の彫刻はまごうことなき ロマネスク
柱廊→ 床は現代にものだが、一部にモザイク画が残されている→
内部に収蔵されているブロンズ扉同時代のもの この扉にも描かれている「巡礼の聖二コラ」が、この大聖堂の正式な名前になっている。実は地下に、それ以前の11世紀からの教会二つが今もみられるのである。↓
ひとつ下の階は聖母マリア礼拝堂。およそ九世紀ごろの部分だそうだ。北イタリアでよくみかけるロンゴバルド風に「蝉デザイン」のロマネスク柱頭がならぶ⇒ フレスコ画も残されている⇒ この階に、トラーニ大聖堂の本当の名前「巡礼の聖ニコラ」の遺骨が納められているのだ。 一角に、さらに下への階段がある⇒
地下二階に達すると、「あぁ、ここがオリジナルのスタイルだったんだ」と思わせるロマネスクのアーチ! ここはもっとも初期の西暦五世紀に建てられたという聖レウチョの墓所・教会だった場所が現れる↓
三重に重ねて建設された教会だが、外観はすっきりとして、ただ美しい。特に後ろからのこの姿⇒
**近くにある城は、13世紀フェデリコ二世の時代のもの ちょうどアルキメデスの展覧会をやっていた。これって、昨年秋にシチリアのシイラクーサでやっていたものが回覧してきたのだろうか?
***旧市街
いちばん古い地区の入口にあるオンニサンティ聖堂は修復にはいっていた⇒十字軍騎士たちが出陣の前に祈ったといわれる教会。修復終わったら(いつだ?)訪れてみたい。
ジュデッカ(ユダヤ地区)の門があった場所⇒「黄金の門」と呼ばれている。かつては三つのシナゴーグがあるほど栄えていたが、現在は元教会のスコラ・ノーヴァがあるだけ⇒
****サン・ジャコモ教会
バスが駐車するすぐ近くの教会が気になった。これもかなり歴史あるロマネスクと見た⇒鐘楼は後付。入口は横からのアクセスになっている。しかし、右側に回り込むと、たしかにここが入口だったと思われる宙ぶらりんなアーチが開いていた↓
少ない英語解説版によると、たしかにここが入口で、かつてはバルコニーがあったのだそうだが、17世紀の地震で壊れてしまい、入口が変更されたとあった。上の写真で右下に開けられたおもしろい形の穴はなんだろう? 内部にはフレスコ画も残されているようだが⇒時間がなくて、ちらっと見ただけで、バスに乗ってしまった。ああ、残念。 ガイドブックなんぞに載っていなくてもおもしろそうな場所はたくさんある。トラーニ、またゆっくり訪れたい街である。
・・・と、話をしていたら、ここでグループを離れたガイドさんが、サン・ジャコモ教会を見てきてくださった!ちゃんとこういうことをしてくださるガイドさん、そうそうおられません。自分自身にしっかりした好奇心がなければ、出来ない事であります。⇒この話、こちらに書きました。