旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

高野山~朝の護摩祈禱から奥の院(前半)

2022-06-21 14:38:41 | 国内
高野山奥の院のナイトツアーに参加した。
二十万基以上の墓が密集する場所だが不思議と怖さは感じない。

奥の院まで参拝し復路はバスで宿坊に戻った。

翌朝、本堂でのお参りに続き、

すぐ前の毘沙門堂での護摩祈禱に参加↑二十人も入ればいっぱいになってしまう。

太鼓と迫力ある読経、めらめら燃え上がる炎、煤の匂い。

途中、火の神に油やハチミツなどの液体が投げ込まれる。
日本古来の修験道やヒマラヤの小さなゴンパでの読経を思い出した。
このお堂には空海自身が刻んだという毘沙門天が安置されている。
**
08:45「一の橋」でガイドさんと待ち合わせて奥の院へ。

↑左下の現在地「一の橋」から右上の弘法大師御廟まで約二キロ。これを「奥の院」と呼ぶ。

入ってすぐ左に立つ碑は、この道を石畳で舗装したのは●阪口祐三郎(すけさぶろう)だと書かれている。

↑彼自身の墓と銅像がほどなくみえてくる↑
明治17年(1884)生まれの彼は、いわば大阪ミナミの一時代を築いた人物。
幼くして両親を亡くしたが料亭「大和屋」を営む叔母阪口ウシにひきとられ、13歳で彼女が見込んだ松本重太郎に預けられた。

↑●松本重太郎の墓も高野山にある↑松本重太郎は京丹後・間人出身で、高野山への交通である南海電鉄の創設者。阪口ウシは若い駆け出しの彼を信頼し、大金を融通した。
重太郎は恩人の甥を立派な事業家に育て上げたのだった。


同じく「一の橋」を入ってすぐ左に見える●「同期の桜」の白い記念碑。すぐ後ろに鶴田浩二の墓。彼は19歳で海軍航空隊に入っている。高野山には終戦までの一年だけだが航空隊が置かれていた。

●数取り地蔵

ばらばらで地中に埋まっていたが、江戸時代・延宝年間(1673‐81)に霊夢でその場所を知った大阪の塗師多左衛門が掘り出し、元通りにして祀った(昭和五十三年の解説版より)。このお地蔵さんは前を通る人をすべて覚えていて、誰が何度参拝したかを閻魔様に報告する。回数が多ければ「功徳を積んだ」として裁定に斟酌されるそうな(^^)

●町石

↑鎌倉時代の「町石」が一町(109m)ごとに立てられている。もともと空海の時代から木製で立てられていたと伝わる。鎌倉時代、北条氏御家人のひとり安達泰盛らの尽力により二十年かけて整備された。地中一メートルぐらいまでしっかり埋め込まれた全体で三~四メートル近くになる花崗岩。
起点は根本大塔※リンクします
奥の院までは36基。ふもとの九度山までは180基。

大名の墓はたくさんある。
当時全国で250ほどあった大名のうち110が高野山に墓をもっているのだそうだ。

↑地元●紀州藩の墓↓は三か所に↓



↑●伊達政宗の墓


↑薩摩藩島津家↓

●島津義弘・忠恒父子は秀吉の朝鮮戦役に駆り出され最前線で修羅場を見た。
味方だけでなく敵の朝鮮兵も合わせて供養している。

敵味方を問わず、民族も問わず、宗教さえ問わず、すべてを供養する心で受け入れてきた高野山の精神は世界的にも評価されて、

高野山がユネスコの世界遺産に登録される時、大いに役立ったそうだ。




↑●明智光秀は生前に高野山の墓をつくっていた。

↑なんど修復しても五輪塔の丸い部分が割れてしまうのだそうな。
光秀の墓は小松が宿泊した宿坊が管理している。
奥の院の墓にはそれぞれ管理宿坊が決まっている。

★一石五輪塔

高野山信仰のほんとうの主役は、巨大な墓などつくることができない庶民である。

彼らは一生一度の願いを抱えて高野山に詣でた。

正式な墓をつくることなど夢の夢。
せめて一つの石を削って五輪塔にしよう。

高野山のどこを掘っても↑必ず一石五輪塔がぞろぞろでてくる。

●初代市川團十郎墓

↑舞台上で元禄17年(1704)に共演役者に刺殺されている↑


中の橋を渡る
※写真は話の構成上前後している部分があります

●汗かき地蔵

そもそも地蔵様は六道を歩いて衆生を救済しておられる。
地獄まで出向いて人々を救済するけれど、この世にもどってきた時に「あの時はあぶなかったなぁ」と汗をかくのだそうな(^^)
●姿見の井戸

覗き込んで、もし姿が写らなければ三年以内に死ぬ、そうな。

●禅尼上智碑

永和元年(1385)鎌倉時代の年号で、高野山ではじめての女性の墓かもしれないとされている↑
日本語解説では「耳を当てると『極楽に似た声』がきこえる」
英語解説では「can hear the cris in hell」

●パナソニック

↑2018年の(関空への橋が止まった)台風21号で後方に見える木折れて供養塔をいくつか破壊したのだそうだ↑

※奥の院(後半)に続く
コメント
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