僕の前世はたぶんオランダ人。

おもしろきこともなき世をおもしろく

ドーン(平野啓一郎)

2019年11月17日 | よむ

分人分人とやたらとでてくる。
その考えには共鳴する。
それ以前に
この作家の文体の多様性に
驚かざるを得ない。
共和党候補者は共和党らしく
民主党候補者は民主党らしく演説し
小説家になろう投稿は
全く分かりやすい迎合的な文体で語り
メインとなる長文は
村上春樹調の
難解な造語があふれる淡々とした文体で
その気になればどんな文体でも書ける聡明さを感じる。
最終的に民主党支持の良心
ブルーススプリングスティーンまで出しちゃう
音楽的な素養も好き。
ウソツキを漢字で書くと
嘘吐きなのね。
驚き。
先日のテッドチャンも然り
宇宙が舞台の物語を読むと
ピンクフロイドの
HIGH HOPES
が頭の中で流れ出す。
この本もハリウッド制作で映画化したら面白いだろうなぁ。
そしてこの本の残り数ページに差し掛かったとき
もう11月だというのに
本を持つ自分の左手にとまる
季節はずれの1匹の小さな蚊を発見したときの恐怖足るやない!
文字通り軽いパニックを起こし
未だ動悸がとまらない!