へえ!
ブラックコメディの専門家とばかり思ってたのに
近代史もいけるんだ!
振れ幅広いなぁ!
と思い手に取ると
星新一ではなく星亮一でした...。
小石川に生を受け
ミッドウェイに没する
山口中将の49年間を描く。
山口中将を魅力的に描かれるのは勿論だが
当方の興味はやはり
なぜ負けたか
に徐々にうつってゆく。
そこへいくと中国国民党は強かであったし
日露戦争の幕引きを図るべく
早くからイギリスと接触したり
ロシア内部からの崩壊を画策したり
というのは
まさに身の程を知っていたからであり
いわんや
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」
ということである。
そこへいくと
太平洋戦争というのは
まさに強者の理論にのっとって開戦し
クロージングを夢見たものであり
弱者がどうやって資源を得て
大国と肩を並べて行くか
という一重に
「周りが見えておらず、空気を読もうとしなかった」
現代の日本人にも根強く残る価値観だけで勝負してしまった。
というところにあるのではないかと思う。
国際感覚豊かな日本人を多く輩出し
視野を広く持つことが
発展につながるとだということが再確認できた。
壮年に至るまでの中将の愛妻にあてた手紙は
こちらが赤面してしまうほどだが
死と隣り合わせで懸命に生きたことが伝わってくる
貴重な資料であった。