政府は2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の建設計画を見直す方針を固めた。
総工費が2520億円に膨らんだことへの与野党や世論の批判を受け、費用を縮減する方向転換が必要だと判断した。
デザイン変更と工期延長を軸に具体案を詰める。
複数の政府関係者が7月15日、明らかにした。
いずれの場合も2019年秋のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会での使用が困難となる可能性があるなど、検討すべき課題は多い。
安倍首相は7月10日の国会答弁で「(デザインを変更すれば)五輪に間に合わない可能性が高い」と指摘している。
だが、現行計画を維持すれば安全保障関連法案の採決強行と相まって政権批判が高まりかねないと判断し、デザイン見直しも検討課題となった。
今月末の国際オリンピック委員会(IOC)総会までに最終判断する見込みだ。
政府関係者は取材に「計画見直しはあり得る。 世論は無視できない」と述べた。
自民党の二階総務会長は7月15日のBS番組収録で「節約する方法はないのか。 予算を縮小することになれば若干の見直しは当然必要だ」と計画修正を求めた。
総工費が当初計画より約900億円増加した大きな原因は、屋根を支える2本の巨大なアーチ構造にある。
政府の甘い見通しに与党内からも「国民に説明がつかない」などと批判が続出した。
公明党の漆原中央幹事会会長は7月15日、東京都内で記者団に「どんな経緯でこんなに大きな(金額の)違いが出てきたか。 しっかり国民に見える形で説明してほしい」と述べた。
民主党も計画撤回を強く迫っている。
工期延長案は、デザインを変更せずに期間を延ばすことで人件費を含む経費を削る内容だ。
五輪誘致の際にアピールしたデザインを変更すれば国際的信用を損なうとの懸念を踏まえた。
ラグビーW杯では五輪の運営手順も確認する。
建設計画見直しが決まれば関係機関が代替地を探すことになる。
W杯誘致に尽力した墓只五輪の大会組織委員会会長、森喜朗元首相が異論を唱える可能性がある。
「国際的信用を損なう」ということはありえないし、「工期」が間に合わないというのも変更をいやがる人達の詭弁としか見えない。