STAP細胞の論文問題で、理化学研究所の小保方ユニットリーダーの指導役の笹井氏が朝日新聞の取材に「STAPは本物の現象だと考えている」とこたえた。
小保方氏の現状については「こうした事態を迎えた責任は私の指導不足にあり、大変心を痛めた」と心境を説明した。
笹井氏は理研発生・再生科学総合研究センターの副センター長で、ES細胞(胚性幹細胞)から体の組織をつくる研究の第一人者。
小保方氏とともに主要著者の1人になっている。
専門家からの指摘では、STAP細胞が実は別の万能細胞(ES細胞)が混ざったものではないかという疑念が多い。
これに対し、笹井氏は「他の万能細胞を混ぜても、一つの塊にならない。 実験をやったことのない人の机上の考えだ」と反論。
ES細胞からつくれない組織がSTAP細胞ではつくれたことなどをあげ、「ES細胞では説明のできないことが多すぎる」「STAPが存在しないなら、私たちが再立証に力を入れることはない」と指摘した。
論文撤回に反対する小保方氏と違って、笹井氏は「信頼が失われたのは否めない。撤回は適切な判断だ」として論文の撤回に同意している。
撤回をめぐる話し合いは、「不服申し立ての結果が出るまで難しい」とした。
その上で、反対している米ハーバード大のバカンティ教授らとも「交渉、協議には時間がかかるだろう」との見通しを示した。
小保方氏の会見を見た笹井氏は「彼女の気持ちと考えを率直に語ていた。 平素の小保方さんと同じ感じだった。 若い研究者の芽を枯らせかねない状況になり、慚愧の念にたえない」と胸の内を明かした。
笹井氏は来週中に会見を東京都内で開く意向を示しており、「質問の集中砲火は覚悟して、会見に臨みたい」とした。
笹井は立場や経験からその責任は重大であり、会見でSTAP細胞の存在を明確に話してほしいものだ。