家族に物忘れなどの異変が表れ、認知症を疑いながら、医療機関を受診するまでに平均で9ヵ月半かかっていることが9月16日、アンケートで分かった。
本人が受診を拒否したのが主な理由で、診断を受けることへの不安が背景にあるとみられる。
厚生労働省は認知症の高齢者を800万人以上(予備軍を含む)と推計。
2013年度から始めた「認知症施策推進5ヵ年計画(オレンジプラン)」で、専門医の育成など、早期診断に向けた取り組みを進めている。
認知症には、投薬で症状の進行を抑えられるアルツハイマー型認知症のほか、治療が可能なものもあり、カウンセリングや医療体制の整備が課題といえそうだ。
昨年9月、会員に質問票を郵送し、465人が回答した。
認知症の治療をめぐる患者や家族への大規模調査は初めて。
家族が異変に気付いてから、患者本人が受診するまでの期間は「6ヵ月以上」が46.7%だった。
中には「5年以上」 (2.8%)、「3年以上、5年未満」(6.7%)など、長期間に及ぶケースもあり、全体の平均は9.5ヵ月だった。
6力月以上と答えた人に時間がかかった理由(複数回答)を尋ねると、「本人が病院に行きたがらなかった」が38.7%で最も多かった。
「年齢によるものだと思っていた」(33.6%)、「本人に受診を言い出せなかった」(21.2%)が続き、家族が判断に迷ったり、本人を説得できなかったりする実態も浮き彫りになった。
「精神科や物忘れ外来の受診に抵抗があった」との回答を年代別でみると、若年性認知症(64歳以下)が65歳以上の約4倍に上った。
認知症は高齢者の病気と思い込んでいるのが原因とみられる。
早期に診断できるかどうかで、介護する家族にも影響が出る。
患者と家族をともに支援する体制が必要であり、相談窓口の設立、充実、および周知徹底が急がれる。