米主要メディアは2月16日、衛星写真や米国防当局者の話として、中国政府が南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島に地対空ミサイルを配備したと報じた。
レーダー施設も設置しており、米当局者も2月17日、ミサイル配備を確認。中国によるミサイル配備が表面化し、南シナ海情勢は新たな局面を迎えた。
日米高官は中国の「一方的な現状変更」に懸念を示し、緊密に連携して対応する方針を確認した。
米国は昨年から南シナ海の島々の軍事拠点化をやめるよう求めてきたが、中国は着々と拠点化を進めており米中間の緊張が一段と高まりそうだ。
米FOXニュースによると、ミサイルの配備場所は中国が実効支配する永興(英語名ウッディー、ベトナム名フーラム)島。
同島はベトナムと台湾も領有権を主張している。
2月3日時点の衛星写真には写つていなかったが、2月14日の写真では少なくとも2個部隊分に相当するミサイル発射装置8基の配備とレーダー施設の設置が確認されたという。
FOXは米政府当局者の話として、ミサイルは「紅旗9」で射程は約200キロ。
軍用機、民間機を問わず付近を飛行する航空機の脅威になるとの見方を伝えた。
米海軍は先月下旬、西沙諸島に「航行の自由」作戦でイージス駆逐艦を派遣。
専門家からは、2月15~16日に開かれた米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の首脳会議のタイミングを狙った対抗措置との見方が出ている。
米太平洋軍のハリス司令官は2月17日、中谷・防衛相との会談で、中国のミサイル配備の報道に関し「習国家主席が(オバマ米大統領との)約束を守れないことの証左だ」と批判。
中谷氏とハリス氏は南シナ海情勢で連携しASEAN加盟国の支援や日米の共同訓練を進める方針で一致した。
菅官房長官は2月17日の記者会見で「一方的に現状を変更し、緊張を高める行為を深刻に懸念している」と表明した。
中国国防省は2月17日、中国が主権を主張する島々の「防衛体制は昔から存在している」とのコメントを発表。
配備を否定せず、南シナ海の島々での軍事展開を正当化した。
南シナ海では中国が防空識別圏を設定する懸念も浮上。
日本の防衛省幹部は配備が事実なら「防空圏設定に必要な整備」を進めている可能性があるとの見方を示した。
米政権、抑止策描けず。