2025年1月以降の大学入学共通テストを巡り、文部科学省は、入試改革の眼目とされた英語民間試験と記述式問題の導入断念を7月30日に正式に公表した。
受験機会の公平性や採点の正確性を確保するめどが立たないと判断。
ただ、英語や記述に関する高いスキルは大学教育でも有用として、各大学の個別入試での充実を促していく考えだ。
文科省は2017年7月、大学入試センター試験の後継として2021年1月に初実施の共通テストから、民間試験と記述式を導入すると公表。
しかし、民間試験については地域や経済格差への配慮の不十分さが指摘され、記述式でも短期間で大量の答案を正確に採点する困難さといった課題が解消できず、2019年12月までに初回共通テストでの導入が見送られた。
その後、省内に設置された有識者会議で、課題の検証と、来春からの新高校学習指導要領で学ぶ今の中学3年生が受験する2025年以降の共通テストに合わせた導入可能性を模索していたが、同会議は今月、「いずれも実現困難」と提言。
導入に向かっていた過去の議論を「実務的な課題の解決に向けた検討が不十分」と批判した。
提言は個別入試での活用を推奨しており、萩生田文科相は今月の記者会見で「丁寧な議論で方向性が決まった。 文科省としても (大学側を)ウオッチしたい」と発言していた。
文科省は導入断念とともに、新学習指導要領の教科・科目の再編に対応するため、共通テストを現在の6教科30科目から「情報」を新設した7教科21科目に再編する。