望まない妊娠を防ぐために性交後に服用する「緊急避妊薬(アフターピル)」が、薬局で医師の処方箋なしで買える試験運用が始まって間もなく3週間。
岡山市の医師は、これまで緊急避妊薬を求めて薬局に来た女性には性被害者も含まれたとし「購入のハードルが下がればより多くの被害者を救える」と、市販化の早期実現を訴える。
父親、母親の彼氏、部活の先輩など。
ウィメンズクリニック・かみむらの上村院長が、薬局を訪れた10代女性から相手を聞き取った結果だ。
駅のトイレで被害に遭った人も複数いた。
岡山県では、国の試験運用が11月28日に始まる前の2021年から、薬局で医師のオンライン診察を受ければ緊急避妊薬を購入できる「おかやまアフターピルプロジェクト」を開始。
県内と福山市の26薬局が参加する。
代表の上村氏が今年3~5月の処方事例を分析すると、薬局に来たのは約300人で20代が最多。
10代と20代では性被害に遭った人が1割程度おり、本人の意向を尊重した上で警察や福祉機関につなげたという。
試験運用が始まってからは、緊急避妊薬を求めて薬局に来る人の数が増えた。
上村氏は「望まない妊娠を避けられるのはもちろん、性被害に遭った人を支援につなげやすくし、人工妊娠中絶を減らす可能性も高まる」と期待する。
上村氏は、全国の薬局で全面市販化を実現すべきだと強調する。
「必要とする人がすぐに入手できるようにすることが何より大切だ」と話した。