熊本熊的日常

日常生活についての雑記

変らぬ世界 変えたい世界

2010年04月02日 | Weblog
東京国際フォーラムで開催中のアートフェアに現金10万円握り締めて出かけてきた。「芸術新潮」にアートフェアについての座談会の記事があって、「買うと買わないでは、世界が違ってくる」という言葉に惹かれたのである。確かに、その通りだろう。

午後の早い時間に2時間近く会場のなかを歩き回り、それなりに惹かれるものもあったのだが、そういうものは当然に予算超過で、かといって役所ではないので予算消化が義務付けられているわけでもなく、結局「違った世界」を手にする機会を逸してしまった。

それでもいろいろな作品を一度に眺めるのは楽しい経験だった。買うとしたら、まだ名前の知られていない人の作品がいいと漠然と思っていた。できれば絵画で、私が今住んでいる30平米の小さな部屋でも飾ることができそうな小さなものが欲しいと思いながら、会場を回った。勿論、それ以外のジャンルのものも観て歩いた。

陶芸をやっているので、陶磁器にはどうしても目が吸い寄せられてしまう。ルーシー・リーの存在感は圧倒的だった。もっと予算があったとしても買うことはないのだが、どの器にもオーラのようなものが感じられて、シンプルで洗練された形なのだが、不思議な力強さのようなものがある。何故買わないことに決めているかというと、陶磁器に関しては欲しいものは自分で作ることにしているからである。勿論、遊びでやっているような陶芸では、できるものというのは限られている。しかし、遊びとはいえ、欲しいものを作るために技能を向上させるべく教室の通っているわけなので、買ってしまっては教室に通う意味がない。

同じ理由で、写真もあまり買いたいとは思わない。写真は習っているわけではないが、部屋を飾る程度のものは自分で撮りたいと思う。現に、部屋には自分が撮った写真を自宅のプリンターで印刷して自分で作った額に収めて飾ってある。額は1月14日付「額を作った」に書いた額である。額は今のところ、このブログのなかに書いた3つだけだが、飾る場所はひとつ分しかない。そんなわけで、3つの額をとっかえひっかえ飾っている。

絵は筧本生の作品が面白いと思ったが、既に名前のある人で、当然に私の予算では収まらないので、やはり購入対象たりえない。ほかにもいくつか気になるものがなかったわけではないのだが、結論としては買いたいほど欲しいものには出会うことができなかったということだ。ただ、今まで美術品を買うなどということは思いもよらぬことだったので、それが買ってみようと思うようになったのは自分のなかでの大きな変化であることには違いない。さて、私の世界は変るのだろうか。