熊本熊的日常

日常生活についての雑記

達者でな

2010年04月14日 | Weblog
木工作業に勤しんでいたら、ふと「わ~ら~にぃまみれてよぉ、…」という三橋美智也の歌声を思い出した。今日は昇降盤に付きっきりで赤松の集成材を切る作業をしていたので、藁ならぬ木屑にまみれていたのである。

今作っているのはレターケースだ。A4サイズの書類が入る引き出しを5段にしたもので、全体の高さは約25センチである。この高さは、このレターケースと並べて置く無印良品の厚紙製ファイルボックスの高さ(246 mm)にあわせた。

集成材とはいいながら、赤松は元気のよい素材だ。もとの板材から部材を切り出して一気に組み上げるのが暴れる素材を扱うときの理想なのだが、週に一回の木工教室ではそういうわけにはいかない。切り出した材料を組んではクランプで止め、組み立てに至らなかった材料は纏めてクランプで止め、というように力技で押さえ込みながら作業を進めている。完成後も多少の暴れは残るかもしれない。尤も、昨年夏に作った杉のゴミ箱は暴れが予想されながらも、今のところは落ち着いている。このレターケースもなんとか落ち着いてくれと念じながら作っている。かといって、暴れを防ぐために塗装は施したくない。木の風合いはなるべくそのままにしておきたいのである。

木を切っていると木の香りがしてくる。一枚の大きな板から切り出しているので、香りは同じはずなのだが、切る毎に微妙に香りが違っている。集成材なので赤松という共通項を持ちながらも様々な木が混合している所為もあるだろうし、木の繊維をどのような角度で切るかによっても香りが違うのかもしれない。同じ赤松でも木によって香りが違うとすれば、人の体臭に個人差があるようなものだ。木にも個性があるということだろうか。木の生えている土地によって含まれている成分が異なるであろうし、日照の時間や強弱によっても木はそれぞれの個性を帯びるのだろう。

松の香りの源の最たるものは脂なのだそうだ。松脂は化学製品の原料として様々な用途に用いられているが、木工品にとっては外観を損ねる要素となる。このため加工前にある程度の時間をかけて脂を飛ばしてしまうのが望ましいのだが、なかなかそんな悠長なこともしていられない。製作中の木工品が完成した後で脂が染み出し、それが固まってしまって斑点のようになったら、それは景色として受け容れるよりほかに仕方が無い。一応、今の予定では、一通り完成した後にオイルかワックスを塗るつもりでいる。脂が染み出しても目立たなくなるだろうし、なによりも汚れが定着しにくくなる。

幸い、今のところ作業は順調に進捗している。来週は事前に準備しておいた3mm厚のシナベニヤを使って引き出しの底板と筐体の裏板を作り、引き出しの組み立てまで終わらせようと思っている。この調子でいくと完成は5月中ごろになりそうだ。