BSの「昭和の歌」番組をみた
やはり昭和の歌謡曲はいい
心にしみる歌が多いし
その頃のことが具に
よみがえってくる
番組の終り近く
千昌夫さんの「津軽平野」が流れた
私はこの歌に弱い…
62歳で今から40年前に亡くなった実父は
歌がとても上手な人だった
秋田民謡が十八番(おはこ)で
酔うとよく歌っていた
毎年 秋に出稼ぎに行き
春の雪解けごろに帰ってくる
病気が発覚するその年の春
父が帰るという日に合わせ
幼い二人の息子を連れて
私は実家に行った
父は土方(どかた)の親方の運転する
マイクロバスの中から
孫が来てるぞ…と
同僚にからかわれながら
降りてきた
照れ隠しだったのだろうか
「秋田草刈歌」を口ずさんでいた
「いつもじょんがら 大きな声で
おどう歌って 汽車から降りる‥…」
父には最後となった出稼ぎ
あの日の光景が
千昌夫さんの歌声にいつも
ありありと浮かんでくるのだ
「お岩城山よ~ 見えだが おどう」
あの日も雪を頂いた「秋田駒ケ岳」が
真っ青な空に聳えていた
「津軽平野」を聞くたび
私は必ずあの日の父を思い 涙する