リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

芸術の秋、芝居のシーズンも開幕

2014年09月10日 | 日々の風の吹くまま
シーラとヴァルが来て、家は上から下までピカピカ。でも、掃除が終わって、気分が落ち着
いたらもう夕食のしたくの時間。今夜はArts Club新シーズンの開幕パーティで、最初の演
目『4000 Miles』のドレスリハーサル。普通なら来週の水曜日にオープニングナイトのレセ
プションがあって、その後で観劇となるところだけど、来週は州のワイナリーと有名シェフと
提携しての資金集めイベントと重なるので、最後のリハーサルを明日から始まるプレビュー
ウィークのそのまたプレビューと言う形にした。パーティは6時からで、開演は7時半と普通
より30分早いから、食事もそこそこにスタンリー劇場へ。

ニューヨークはマンハッタンのウェストヴィレッジにあるアパート。91歳のヴェラはそこの独
居老人。ローカル演劇界の大御所で60代に入ったばかりのニコラ・キャヴェンディッシュが
実に見事に演じていた。ストーリーはシアトルから自転車でアメリカ大陸を横断して来たヴェ
ラの21歳の孫レオが突然現れるところから始まる。ヴェラは若い頃にキューバ革命の支援
をしたという左派活動家。レオは大学でマルクス主義の授業で感銘を受けたと言うけどまだ
雲の中に頭を突っ込んだままの21世紀のヒッピー。演じるバンクーバーっ子のネイサン・バ
レットがこれまたすごくいい味を出している。

ヴェラは言おうとする言葉を思い出せずに苛立ったり、互いに安否をチェックし合う隣の独
居老人ジニーからの電話がうるさいと苛立ったり、昔の仲間がまた1人死んで自分だけに
なったと嘆いたり。レオは両親が養女にした中国人の妹との間にトラウマになることがあり、
一緒に自転車の旅に出た親友を途中で不慮の事故で失うというトラウマを抱えて、「自分探
しの旅」でますます迷ってしまったナイーブな若者。人生の黄昏で先が見えているヴェラと
出発点で先が見えずにもがくレオ、その2人の心がしっかりと通うまでを短いシーンを連ね
る手法で描いたもの。

特に派手なシーンもなく淡々と進むのに、最初は何これ的な目線で観ていたのが、気がつ
いたら深みにずっぽりとはまってしまっていたからすごい。作者はこの作品で昨年度のピュ
リッツァー賞候補になったアメリカの新進劇作家エイミー・ハーゾグ。ジャズで活躍した作詞
家アーサー・ハーゾグJrの孫娘だそうな。「新たな50年」の始まりを目指す新シーズンはな
かなか手ごたえのあるスタート。イベントも目白押しで、忙しくなるなあ。