【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

春の雨

2015-04-10 18:02:38 | 四季のスケッチ



【「木香薔薇(モッコウバラ)」】













 煮え切らない雲が、
頭の上へ靠垂もたかかって居たと思ったが、
いつの間にか崩れ出して四方は
只雲の海かと怪しまれる中から、
しとしとと 春の雨 が降り出した。
―― 時々風が来て、高い雲を払ふとき、
薄暗い山のが右手に見へる事がある。                  
                  【夏目漱石 「草枕」】







   天気予報通り雨となりました。
  尤も降り始めは少々、遅れましたが。

   おまけに日射しがありませんから、
  気温の割に寒く感じます。冷たい春の雨。

   この雨で残っていた桜も、
  完全に散ってしまった事でしょう。

   「春やうやうけしきだつほどこそあれ、
  をりしも雨風うちつづきて、
  心あはただしく散り過ぎぬ」
       
                    ~ 「徒然草」



   (桜の咲く頃は、
  天候が不安定で、
  ともすれば花曇りや
  花に嵐といった
  天候になる。

   だからこそ、
  ひと時を惜しんで、
  花の美しさを満喫
  しようとし、勢い
  余って、ついつい
  ドンチャン騒ぎに
  なり、花を見る事を
  忘れてしまう)

   この句には、
  こんな意味が
  あるようです。

   それにしても
  いつの世も人々の
  気持ちは一緒ですね。

   居間よりは遥かに
  ゆったり流れていた
  であろう時代である
  にも関わらず、
  季節の移り変わりの早さを感じる心も。

   ところで、花冷えと言っても、時は春。
  昨日はまだ蕾だった、シャガやチューリップ。
  一夜にして、ここまで開花しました。

   そう言えば、あの 【大山崎山荘】
  このシャガが庭一面に咲いていましたっけ。

   そして夏目漱石も、この山荘を訪れています。
  その繋がりで今日は漱石の小説、
  「草枕」 から、春の雨の件(くだり)を。

   漱石の小説には結構、季節の描写がありますね。
  親友、正岡子規の影響もあるのかも知れません。