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ぶうと云って汽船が止まると、 艀が岸を離れて、漕ぎ寄せて来た。 船頭は真っ裸に赤褌を締めてゐる。 野矕な所だ。 尤も此熱さでは着物は着られまい。 日が強いので水がやに光る。 【夏目漱石 「坊っちゃん」】 |
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日本の気象図は、どこを見ても真っ赤っ赤。
今日も厳しい暑さとなりました。
8月が、よもやこんな暑さになろうとは・・・。
それでも、冷夏よりはましかも知れませんね。
そう言えば、湿度のあるこんな暑さを
「油照り」 と言うそうな。
尤も、漱石からの引用ですが、
まさに日本の夏そのものの描写ですね。
ところで漱石の文学には気象描写が良く出て来ます。
一説にはロンドン留学から(あまりにも厳しい気候)
自然を見る目が変わったとか。
自然を日本的自我を語る心象風景として
捉えるようになったと言います。
青年時代から正岡子規らと句作に励んだ、
漱石ですから、それはある意味、当然かも知れませんね。
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暑さは人を怠惰にさせますが、
こんな時、せめて色から “涼” を。
何と言っても、青・・瑠璃色でしょう。
幸い今、朝顔とセージが盛りです。
ペチュニアも咲いていますが、ちょっと異質な気がして。
花は西洋朝顔?
と言っていいほど似ていますけれど。
それより何より。
こんなに暑いのに、せっせと蕾を付けている
薔薇にも魅かれます。いいえ、気もそぞろ。
白薔薇は、もうすっかりお馴染み。
そして久し振りの真紅の薔薇です。