だって見たいんだもん!

映画と共に生きてきた私。大好きな映画と芝居と絵画をメモします。

ドーバーを越えるビラル

2010-12-05 21:22:04 | 映画
「パリ空港の人々」(93)「マドモワゼル」(01)「灯台守の恋」(04)のフランス人監督フィリップ・リオレ。すべてのフランス映画を見ることはできないので、未見です。劇場では見れなくても、レンタルもあるし、いつか見たい映画たち。

そのリオレ監督が脚本を書き監督した最新作が、「君を想って海をゆく」(09)です。2008年2月、イラクに国籍を持つクルド人難民の17歳の少年が、イラクからの4000キロを3ヶ月かけ歩いてフランスにたどり着きます。

そこはフランス最北端の港町カレ。少年の名前は、ビラル・カヤニ(フィラ・エヴェルディ)。彼の目的は恋人のミナが住むロンドンに行くこと。そのためには、目の前の英仏海峡を越えなければならないのです。

ビラルは密航を試みますが、失敗。イラクへの送還をなんとか逃れることができたビラルは、英仏海峡を泳いで渡ることを決意します。カレの町の市民プールで子供や老人のコーチをしているのは、シモン・カルマ(ヴァンサン・ランドン)。

かつて水泳選手として有名だったシモンですが、妻のマリオン(オドレイ・ダナ)とは別居し現在離婚調停中でした。マリオンはボランティアで難民支援の活動をしています。そんな時、市民プールでシモンとビラルは出会います。

ビラルはレッスン料を払い、シモンにクロールの指導を受けることに。やがてシモンはビラルの目的に気付きます。真冬の海を、10時間も泳ぐことは出来っこない…。ビラルはシモンの自宅に招かれ、自分の夢を語ります。

イギリスに無事渡ることができたら、サッカーをしてマンチェスター・ユナイテッドに入団したい!果たして、そんなビラルの夢は叶うのでしょうか?シモンはどうするのでしょう?そしてよく耳にするクルド人とは?

クルド人は独自の国家を持たない、山岳民族です。主にトルコ、イラク、イラン、シリア、アルメニアの山岳地域(クルディスタン)に暮らしているそうです。世界最大の民族と呼ばれ、約3000万人はいると言われています。

フランスで公開5週で100万人の動員を突破し、セザール賞の主要10部門にノミネート。難民の手助けをすることでフランス市民が尋問の対象になる、ということに怒りを表した監督の発言が問題となってしまった本作。

日本人にはなかなか理解しにくい、難民問題。でも映画としては注目の作品です。
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