『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

二冠&八段

2020-08-21 06:20:00 | 風景
きのうは
37.6℃という
“爆暑日”だった。

最近では、
「命の危険がある」
というフレーズまで
聞かれ始めた。

事実、この猛暑で、
すでに130人以上もが
熱中症死している。

ことに
60代以上は
コロナ同様に要注意とのことである。

クワバラ・クワバラ(笑)。




コロナ禍、猛暑と
過酷な日本のなかで、
唯一、明るい話題が
ソーちゃんの
「二冠」&「八段」達成の
最年少記録更新である。

カミさんは
始業式だったが、
自分は来週からの勤務なので、
一日、王位戦を観戦できた。

木村王位が
序盤で研究手筋を放ったが、
それをものともしないソータに
ジリジリとポイントを離された。

80手での投了というので、
危なげのない大差の勝利だった。

解説者によれば、
棋士は練習で強くなるのではなく、
真剣勝負の対局を重ねて
強さが磨かれる…というので、
対局数トップのソータが
ここのところ、グングン実力を
増しているのも首肯できる。

なるほど…
「本番」の経験が実力を伸ばす…
というのは「演奏」にも
当てはまるなぁ…と、思った。

9歳でギターを始めて、
中一(13歳)から人前で弾くようになり、
発表会・文化祭・結婚式・葬式・
定演・リサイタル・ミニコン・レクコン…と、
数え切れぬほどの「本番」を
こなしてきたので、
“聴かせる”演奏というのが解って
身についてきたのかもしれない
と思わされた。

ギターが上手い人は
いくらも知っているが、
中には“風呂屋の釜”
(湯ぅばっかし/言うばっかし)
というのも少なくない(笑)。

また、“教え魔”という
輩(やから)もいる(笑)。

彼らは、人前では
多く弾いていないから、
いざ、聴かせてもらうと
てんで駄目なのである。

上がってミスるのは論外だが、
自己流の解釈はいいとしても、
聴かせ処のツボを外しており、
己れのパッションと楽器の
シンクロが出来ていない。

中には、
楽譜がキチンと読めていない、
ちゃんと勉強してないのもいる。

そーいう人は
人前で弾いてもらいたくないものである。



ソーちゃんのハナシから
それちゃったが…(笑)。

ソータは、
デヴューした中学生の時から、
「プロとして、魅せる将棋を
指したいと思います」
と宣言しており、
その通り有言実行してきたから
大したものである。

今まで、
誰も見たことのない
将棋の高み、遥かなる地平を
彼は見せてくれた。

心理屋から観た彼の強みは、
キュポロという3Dパスルと
詰将棋という2Dパズルの両方を
幼少期からトコトン解いてきたことに
拠ると思っている。

よくプロの解説者たちが、
「彼だけに見えている風景が
あるんでしょうね」
というのを聞く。

このセリフから、
例えるなら、
大きな迷路に入っている自分は
出口を探すのに試行錯誤して
時間と労力を費やすが、
バーズアイ・ヴューからだと
一目瞭然に出口が発見される。

これに似た現象が、
凡人には想像し難いが、
ソータの中にはあって、
二次元の複雑な図であっても、
三次元的な視点や思考を援用して
あの柔軟な発想、
常識を覆す視点が得られているのでは
と感じている。



…ともあれ、
次の今年度の目標は
渡辺三冠の持つ
「王将」タイトルである。

挑戦者まで勝ち進めば、
「棋聖」を3-1で奪取した相手なので
勝機は大いに有りだ。

そうなると、
「年度内、3期タイトル保持」
という規定により、
一挙に「九段」になる(笑)。

某将棋漫画家じゃないが、
「もう、マンガもドラマも
超えちゃってますねぇ…。
そんな作品書いたら、
リアリティーねぇよと、
編集者や読者に叱られます」
という、お笑い草になる。




書斎兼・カウンセリング室・
レッスン室は、日中は
使われていないので、
猛暑日には外気と同じくらいの
高温になる。

直射日光こそ避けているものの、
楽器も環境と同様に息づいてるので、
木は湿気を吸ったり吐いたりしているが、
ガット弦やナイロン弦はそうはいかず
切れてしまう。

なので、
弦楽器を多く所有していると、
そのメンテが大変である。

もっとも、
それを面倒臭がるようでは
楽器を持つ資格もないのだが…。

例によって、
将棋を観戦しながらも、
長考タイムに
リュートの切れた弦を交換した。

長らく、
古楽器を製作・販売していたので、
その弦に用いるフロロカーボンという
釣り糸をゲージ(太さ)ごとに
十数種ストックしてある。

これが、いちばん、
ガット弦に近い音がする…
というので、海外の弦メーカーも
日本の釣り糸をごっそり買い取って
切り分けてキレイに包装し
「弦」として売っているのは
業界者しか知らない。

ついでに、
ペグ・コンポジションという
クレヨンのようなものを
ペグ(木製弦巻)に塗布して
滑りをよくする。

弦数の少ない8コースの
ルネッサンス・リュートでも
15本もペグがあるので、
この作業をいちどにするのは
大変なので、滅多にはやらず、
回りがキツクなってきたら、
手製のペグ回しを使っている。




きのうも、
ソータの一手87分という
大長考があったので、
その間、動かない盤面を
見ていても仕方ないので、
中国古典の行書を
トレースして稽古した。

それにも飽きると、
リッ君のアップ画像を見ては
「か~い~な~…」
と、愛でていた。

なんだか、
「お喰い初め」の袴姿が、
ソーちゃんの立派な着物姿とダブり、
日本男児のカッコよさ、
スタイリッシュなスタイルについて
再認識せられた。

自分も65歳を過ぎたら
着物を着ようかしらん…と、
思ってしまった。

茶会用の略式の
羽織袴はあるのだが、
もう何年も袖を通していない。

着物を着たソータの
所作・立ち振る舞い・指し手が
艶っぽいと
解説者のフジイ九段も評していた。

たしかに…。

まるで、茶道の
見事なお点前を見るような
美しくも流れるような所作が
十八にして出来ているのは
素晴らしい。

この子は、
石田九段が賞するように
「生まれついての棋士」
なのだろう。

それゆえに、
昨日の能楽堂舞台での決戦では、
本舞台に通じる
「橋掛かり」という渡り廊下を
羽織袴姿で堂々と入場してきた
棋聖の姿は、まさに
「千両役者」そのものであった。

棋士映画の
『三月のライオン』での
主人公演ずる神木君が
ラストシーンで
初タイトル戦の対局室に向かう
姿をも彷彿させた。






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