『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

一所懸命・一生懸命の“ひとり茶事”

2024-11-23 06:20:05 | 懐石

きのうは
月一の『ひとり茶事』に
三ツ星懐石店に
出向いてきた。

毎月、通っているので、
親方、女将さんとも
すっかり馴染みになり、
常連さんのお仲間入りに
なったかもしれない。





先付は
『帆立の黄身酒盗和え』

朱いクコの実も
酒に漬けられたものだった。

帆立に合間って
鰹の腸(わた)も
深みのある味だった。





吹き寄せは、
『鯖河豚の唐揚げ
 海老の含め煮
 カリフラワーの甘酢煮
 蜂蜜漬け髙田梅の天麩羅
 エリンギの卸し酢』





煮物椀は
『牡蠣真蒸の霙(みぞれ)仕立て』

熱々の真蒸を頂くと
牡蠣の風味が鼻孔から抜け、
これまた、熱々の椀つゆが
それを追い掛けて
陶然となった。

紅葉麩と黄柚子の
コントラストも、
ついこないだ
紅葉狩りで眺めた景色を
彷彿させた。





続いては、お造り。

皮付き金目鯛は、
透明な淡いピンク色の身に
ほどよく脂が乗っていて
旬の旨味を感じさせてくれた。

それに比する処の鮪の赤身は、
鮮やかなガーネット色で、
しっとりとした食感と共に、
濃厚な味わいが口中に拡がった。

透き通るような鯛の白身は、
ほんのり薄紅色がまだらにあり、
ぷりっとした弾力と
繊細な旨味で愉しませてくれた。

紋甲イカは、
ねっとり絹のように滑らかで、
その光沢は新雪の肌にも似ていた。

これらの彩りが
土味のある鳴海織部に盛られては
まさに、目でも舌でも楽しめる
一皿となる。



***

蒸し物は
『豚角煮の東寺蒸し』

湯葉を使ったものを
「東寺蒸し」というが、
京都には生麩を扱う専門店が
いくつかあった。

碗ごと蒸してあるので、
熱々で供され、
塗りの木匙で葛餡とともに
とろとろの湯葉と
ほろほろの角煮をすくう。

一碗を平らげると、
カラダが芯から温もり
薄っすら汗ばむほどだった。

まさに、
晩秋から初冬にかけての
温かいご馳走である。



***

つづいて
『白子の素揚げ』が
出汁のきいた土佐酢で
供される。

白子の「白」と
紅葉卸の薄桃色、
パプリカの黄と赤、
獅子唐の緑が
縁に山道のある黒小鉢に
映えていた。

カリ、トロリ・・・
とした、これまた熱々の
佳肴である。

臭みも全くなく、
河豚のそれにも
匹敵する旬の味わいである。



***

〆には
『豆ご飯』

お新香・味噌汁と共に
しみじみと美味しく頂いた。



***

仕舞には
『白玉善哉』と『お薄』が
供された。

口中を甘くしてから
抹茶でそれを濯いだ。

自服以外に
薄茶を頂くのは、
まさに、月一の
この機会だけである。

なので、
いつものように、
一碗に感謝し
「一期一会」の今を
マインドフルネス精神に則り、
利休居士が戦国武将たちに立てた
「この世の別れ」の茶のように
心して喫した。






 


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