きのうは
月一の『ひとり茶事』に
三ツ星懐石店に
出向いてきた。
毎月、通っているので、
親方、女将さんとも
すっかり馴染みになり、
常連さんのお仲間入りに
なったかもしれない。
…
先付は
『帆立の黄身酒盗和え』
朱いクコの実も
酒に漬けられたものだった。
帆立に合間って
鰹の腸(わた)も
深みのある味だった。
…
吹き寄せは、
『鯖河豚の唐揚げ
海老の含め煮
カリフラワーの甘酢煮
蜂蜜漬け髙田梅の天麩羅
エリンギの卸し酢』
…
煮物椀は
『牡蠣真蒸の霙(みぞれ)仕立て』
熱々の真蒸を頂くと
牡蠣の風味が鼻孔から抜け、
これまた、熱々の椀つゆが
それを追い掛けて
陶然となった。
紅葉麩と黄柚子の
コントラストも、
ついこないだ
紅葉狩りで眺めた景色を
彷彿させた。
…
続いては、お造り。
皮付き金目鯛は、
透明な淡いピンク色の身に
ほどよく脂が乗っていて
旬の旨味を感じさせてくれた。
それに比する処の鮪の赤身は、
鮮やかなガーネット色で、
しっとりとした食感と共に、
濃厚な味わいが口中に拡がった。
透き通るような鯛の白身は、
ほんのり薄紅色がまだらにあり、
ぷりっとした弾力と
繊細な旨味で愉しませてくれた。
紋甲イカは、
ねっとり絹のように滑らかで、
その光沢は新雪の肌にも似ていた。
これらの彩りが
土味のある鳴海織部に盛られては
まさに、目でも舌でも楽しめる
一皿となる。
***
蒸し物は
『豚角煮の東寺蒸し』
湯葉を使ったものを
「東寺蒸し」というが、
京都には生麩を扱う専門店が
いくつかあった。
碗ごと蒸してあるので、
熱々で供され、
塗りの木匙で葛餡とともに
とろとろの湯葉と
ほろほろの角煮をすくう。
一碗を平らげると、
カラダが芯から温もり
薄っすら汗ばむほどだった。
まさに、
晩秋から初冬にかけての
温かいご馳走である。
***
つづいて
『白子の素揚げ』が
出汁のきいた土佐酢で
供される。
白子の「白」と
紅葉卸の薄桃色、
パプリカの黄と赤、
獅子唐の緑が
縁に山道のある黒小鉢に
映えていた。
カリ、トロリ・・・
とした、これまた熱々の
佳肴である。
臭みも全くなく、
河豚のそれにも
匹敵する旬の味わいである。
***
〆には
『豆ご飯』
お新香・味噌汁と共に
しみじみと美味しく頂いた。
***
仕舞には
『白玉善哉』と『お薄』が
供された。
口中を甘くしてから
抹茶でそれを濯いだ。
自服以外に
薄茶を頂くのは、
まさに、月一の
この機会だけである。
なので、
いつものように、
一碗に感謝し
「一期一会」の今を
マインドフルネス精神に則り、
利休居士が戦国武将たちに立てた
「この世の別れ」の茶のように
心して喫した。
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