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初診から一月ほど経ち、ようやく安眠がコンスタントにとれるようになり、食欲もぼちぼち出てきはじめた。
ただ、ナイトメア(悪夢)とフラッシュバックには、しばしば悩まされた。
あの老婆の断末魔の顔。目。そして木っ端のように流されていく様。それが、何度も何度も、圭子の脳裏に浮かんでは消えるのだった。
良心の呵責。
自責の念。
その二つが、彼女を際限なく攻め立てた。
場合によっては、自分もあの場で死んでしまった方が良かったのか…。
その方が、こんなに苦しまずに楽だったかもしれない…とも思った。
それは、大災害時に頻出する「サバイバーズ・ギルト(生存者の罪悪感)」でもあった。
時間が解決するより仕方がなかった。
しかし、その間、心身の平衡を崩さないように、クスリとカウンセリングのサポートが必要であった。
そして、あの非道な自らの振る舞いは、守秘義務のまもられる相手でなくば、とてもカミングアウト出来るものではなかった。
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