友人の誘いで 十数年振りで 語りの公演に参加した。
語ったのは 名草姫伝説 戦争孤児の話 ひとはその心さえ知らず
味気ない 公共施設だったので 布を大量に持ち込んで
いささかなりとも 舞台を しつらえた。
ちらし チケット プログラムを つくるのも 久しぶり。
名草姫は 二十年前につくったというか 降ってきたものがたり
今回は 時間短縮のため セリフと内心の声を 増やした。
名草姫は 日本書紀に たった一行だけ 書かれている。
『六月一日 名草戸畔 (字が 違うかも) を誅した』
神武東征 (ということになっている)の時 殺された 女性首長
である。この神武天皇 イワレヒコ と かつてイワレヒコに
滅ぼされ 今は 配下として つきしたがっているウズヒコと
長い黒髪の名草姫 おそば付きの ナギ という少年のものがたり。
12年前 奈良から和歌山を旅した。
それは 大物主をたどる旅であり 湧き出た水が吉野の水分神社から
紀の川となり 大海に 降り注ぐまでの 旅
そしてあとで気づいたのだが 龍神を追う 旅だった。
その 旅を 境に わたしは 神語り をすることになった。
途中 名草神社に参拝しようとして 迷子になった。
細い道 寄り添うようにたっている 家 垣根の前に 小柄な
老婦人が佇んでいた。車を止めて 降りて 道を 尋ねた。
ふと… わたしは 名草姫 が 好きなんです と もらすと
その婦人の 印象が みるみる 変わったのである。
背が伸び 顔は 輝き 瞳の色も黒々と ひたとわたしを見つめ
「わたしは 名草姫の子孫です」と ……
思わず 婦人の手を握った。
2000年の 時を 超えて 今 名草姫と 出会えた……
と 思った。
先日のー語りの 会は 盛況であったが 怖いことが いくつかあって
わたしは もう そこで 語ることはないと思う。
しかしながら 暫く 神語りから遠ざかっていた 語り部としての
復活の兆しは ほのかに感じられ
なにものかはわからねど わたしのもとに 訪れた。
制御は まだ できないが 。
こののち 出雲の神々 甕星カガセオ アテルイの末裔まで
語り つづけて ゆけますように。
縄文の末裔 が ふたたび 追われ 追い詰められている今こそ…