写真はベーナ宮殿。様々な建築形式の建物が連なっている。
【アジアン庭園完成パーティまで開いた】
さらにペーナ宮殿の紹介と入場券の販売を行っている公式サイトを見ると、
「フェルナンド2世は、道路沿いにすべての大陸から在来の森林種を植えました。そのためペーナパークの85ヘクタールはポルトガルに存在する最も重要な樹木園となっています。
1840年代にフェルナンド2世によって導入されたのがアジアのツバキのコレクション。この植栽の披露のために、ダンスパーティーをフェルナンド2世は催したほどです。エキゾチックな木立はパビリオンと小さな建物を引き立てています。」(筆者意訳)
と書かれています。おそらく意識的にアジアの珍しい植物を植えていったことがうかがえます。
宮殿を中心とした山は霧がまいていて、適度に湿り気があり、黒々とした腐葉土が木々の間を埋めていました。どこかに日本のサクラソウが植わっているのかも、と期待しながら目を凝らしていました。
【ペーナ宮殿へ】
さて、エキゾチックな植物に囲まれた宮殿のほうをみてみましょう。標高529メートルの頂上に立つペーナ宮殿はイスラム、ゴシック、ルネサンスといった建築様式を集め、凝りに凝った設計となりました。とはいえフェルナンド2世の美意識が行き届いた設計の後も建設されていたせいか、お金が尽きた成果はわかりませんが、実際目の前に見る城は途中まで美しく、途中からは手抜き、というアンバランスな建物というのが正直な感想です。
たとえば本来彫刻でしつらえたかった柱には、風呂屋のペンキのように平面な予想図が描かれているだけだったり、部屋そのものが、いかにも力尽きました、という状態でペイントされただけで残されていたり。
ただ、生活空間は住むにはちょうどいい大きさで、人々の動きが想像できる気持ち良い。
外観もなんとも言えない感じで、いろいろな建築様式が寄せ集めたものの石材も張るべきタイルも集められなかったのか、黄色や朱色、白で塗られただけで終わっている場所も多々あります。さながら手入れされていないディズニーランドのよう。
いろいろと考えさせられる建物でした。
ただし、広大なので、入口にたくさんにいた観光客は、内部でばらけたのか、はたまた入場制限がかかっているのか、わかりませんが意外とゆっくりとみることができました。
なにより眺望はすばらしい。アメリカ大陸へと続く大西洋の始まりがちらりと見え、風光明媚このうえなし。緑もこの上なく美しく、空も湿度を帯びたやわらかな青色をしていて、ほっとしました。
(ペーナ宮殿おわり)
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