「セント・ニコラス」の朝食セット。これにコーヒーが付く。ポルトガルでは珍しく野菜が付いていない。これで1000円ほど。朝7時のせいか、通りにたくさんあるお店のうち、開いているのは数軒程度だった。
【外で朝食を】
シントラ、ロカ岬を冒険した翌朝。午前9時にはバスでポルトガルを南下する予定が組まれていました。そこで早めに朝食をとろうと散歩に出かけました。
宿泊ホテルは旧市街のバイシャ地区にありました。バイシャとはポルトガル語で低い土地という意味です。大航海以前から迎賓館、異端審問所などが設置され、現在ではシントラ行の鉄道の起点ともなっているロシオ広場と、テージョ川が目前に広がるコルメシオ広場の間に位置します。
いにしえのリスボンの顔ともいえる二つの広場をつなぐアウグスタ通りによさそうな食事処が集まっているのを昨日、ロシオ駅に歩いていくときに発見して興味を持っていました。
外気温6度。底冷えで吐く息も白い静かな朝7時。
歩行者天国となっている石畳のアウグスタ通りの中央には、白いパラソルとテーブルが常設されていました。そこでは亜麻色の髪の店員が早くもイスをテーブルから手早く降ろして、きれいに整えていました。
店内からは、しゅんしゅんとやわらかな湯気。コーヒーを立てているのでしょう、いい香りがします。たまたま目に入った「セント・ニコラス」という店に入っていくと、そこの店員が当たり前のように
「外? なか?」
と聞いてきました。「外」はテイクアウトの意味ではありません。外で食べるかと聞かれているのです。
私は迷わず「なか」と答えました。看板の写真にある朝食セットを頼み、室内の温かさに手を伸ばしていると、写真よりも数段大きいクロワッサンに食パン、大きな目玉焼きとよく燻製されたソーセージが出てきました。たっぷりのバターはコクがあってパンに載せると食欲倍増です。
ペロリと平らげて、最後にコーヒーを飲んで外に出ると、通りの中央にあるテーブルには朝食をとる人々が何組か座っていました。この程度なら寒くはないのか、それとも外の空気が好きなのか? 世界にパンデミックが訪れる前から、外で食べる文化がこちらでは根付いていたのでした。
(つづく)
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