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http://mylibrary.maeda1.jp/0420OilMajor2017-2ndQtr.pdf
2017.8.15
前田 高行
1. 五社の4-6月期業績比較
(表:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-22.pdf 参照)
五社を横並びで比較すると売上高、下流部門利益及び設備投資額ではShellがトップである。しかし総合利益、売上高利益率および原油と天然ガスを合計した生産量の各部門ではExxonMobilがトップである。また上流部門利益ではTotalが最も高く、この部門ではShellが5社の中で唯一欠損を出している。原油生産量ではExxonMobilがずば抜けて大きく、天然ガス生産量ではExxonMobilがShellをわずかに上回り、他の3社を大きく引き離している。
(1) 売上高(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-51.pdf 参照)
2017年4-6月の売上高は5社ともに前年同期より増加した。各社の売上高および対前年同期の増加幅は、ExxonMobilが629億ドル(9%増)、Shell721億ドル(24%増)、BP 565億ドル(22%増)、Total 399億ドル(7%増)、Chevron 345億ドル(18%増)であった。
各社の増収率はいずれも原油・天然ガス生産量の増加率(別項参照)を上回っている。これは今期の原油ガス販売単価が昨年の同期よりも高くなったことによる。因みに販売単価をShellの決算資料で見ると、昨年第2四半期はバレル当たり平均39.31ドルであったものが、今期は45.62ドルと16%アップしている。2011年あるいは2012年のピーク時には年間平均価格が100ドルを超えたが、昨年第二四半期はその時の3分の1であり、今期は2分の1である。原油価格の上昇がそのまま各社の売上高の増加に反映されたと言えよう。
JXTGの2017年4-6月期の売上高は2兆2,252億円(206億ドル)であった。これは国際石油企業5社で売り上げが最も大きいShell(721億ドル)の3割であり、また売り上げが最も少ないChevron (345億ドル)の6割である。
(2) 総合利益 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-52.pdf 参照)
前年同期はBPとChevronの2社は欠損であったが、今期は5社ともに利益を計上している。利益額が5社の中で最も大きいのはExxonMobilの34億ドルであり前年同期(17億ドル)の2倍である。ExxonMobilに次いで利益が多いのはTotalの20億ドルであるが、前年同期比では若干の減益である。ShellとChevronの利益は共に15億ドル前後であるが、前年同期に比較するとShellは32%の増益で、Chevronは前年同期の15億ドルの欠損から大幅に改善している。BPは前年同期はChevronとほぼ同じ14億ドルのマイナスであり、今期は1億ドルの利益に転じているが、他の4社に比べると利益水準は著しく低い。
なおJXTGの四半期利益は200億円(1.9億ドル)であり利益面ではBPを上回っている。
(続く)
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