石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計2017年版解説シリーズ:天然ガス篇 (13)

2017-08-26 | BP統計

 

2017.8.24

前田 高行

 

(天然ガス純輸出国が目前の米国!)

(5-2)主要6カ国の天然ガス自給率

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-3-G05.pdf 参照)

 現在国産の天然ガスだけでは需要に対応できず一部を輸入に頼っている国である米国、中国、UAE、英国、インド及びクウェイトの6カ国について各国の自給率[(生産量-消費量)/消費量]を見ると2006年ではUAEが113%、中国102%、クウェイトは99%でありこれら3か国は完全自給体制であった。一方英国、米国及びインドの自給率はそれぞれ89%、85%および79%であり、米国とインドは2割前後を輸入に頼っていた。

 

 有力な産油国であるクウェイトとUAEはいずれも自国に単体の(非随伴型)ガス田が無く、石油生産に伴う随伴ガスに頼ってきたが、原油生産が停滞する一方、発電・造水用燃料ガスの需要が増加し、UAEは2008年、クウェイトも2009年にはガスの自給率が100%を切っており、現在ではともに自給率8割前後にとどまっている。

 

 英国もかつては北海油田のガスで完全自給体制を維持していたが、2006年には既に自給率は89%であり、その後も年々低下し2013年には国内消費の半分程度しか賄えない自給率50%になり、2016年の自給率は53%である。

 

 中国を見ると同国の2006年の自給率は102%で完全自給体制であった。しかし 2007年に100%を切り輸入を余儀なくされるようになり、以後は年々自給率が下がり2016年には66%で、消費量の3分の1を輸入に頼っているのが現状である。インドは2006年時点ですでに自由率が100%を切っており(79%)、2011年までは自給率70~80%台を維持していたが、それ以降は年を追うごとに自給率が急速に悪化、2016年は英国とほぼ同じ55%であり需要の半分近くを輸入に頼っていることになる。

 

 これら英国、インド、中国に比べ米国の自給率の改善には目覚ましいものがある。米国の2006年の自給率は85%であり6カ国の中ではインドに次いで低かったが、その後年々改善し、2007年には英国、2008年にはUAE、2011年には中国を追い抜いている。そして2016年の自給率は96%と100%自給体制に近付いている。今や米国は天然ガスの輸出国に変化しつつあり、政府は天然ガス(LNG)の輸出を承認、メキシコ湾沿岸で複数のLNG輸出基地が建設され日本向けを含めた輸出がすでに始まっている。

 

(天然ガス篇消費量完)

 

 

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