石油と中東

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五大国際石油企業2017年4-6月期決算速報(5)

2017-08-22 | 海外・国内石油企業の業績

2017.8.22

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

 http://mylibrary.maeda1.jp/0420OilMajor2017-2ndQtr.pdf

 

前田 高行

 

2.2016年第2四半期以降の四半期別業績の推移

 五社の売上高、利益(全体、上流部門および下流部門)、設備投資、原油・天然ガス生産量に関する2016年4-6月期以降今期までの四半期ごとの業績推移は以下の通りである。

 

(1) 売上高の推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-61.pdf 参照)

 2016年第2四半期から2017年第2四半期に至る四半期ベースの売上高は昨年末までは原油価格の回復を受けて各社とも増収基調にあったが、Totalが昨年第4四半期以降は下落傾向に陥ると、ExxonMobil、Shell及びBPの3社も今年第Ⅰ四半期をピークに停滞または下降気味であり、Chevronは過去1年間増収が続いている。

 

 各社の推移はShellが584億ドル(’16 2nd Qtr)→619億ドル(3rd Qtr)→648億ドル(4th Qtr)→718億ドル(’17 1st Qtr)→721億ドル(2nd Qtr)と5期連続で売り上げトップを続けている。これに次ぐのがExxonMobilでありその売上高は577億ドル(’16 2nd Qtr)→587億ドル(3rd Qtr)→610億ドル(4th Qtr)→633億ドル(’17 1st Qtr) →629億ドル(2nd Qtr)である。ExxonMobilは2016年第二四半期にそれまでの売上トップの座をShellに譲ったが、それ以降両社の格差は広がる傾向にあり、前期、今期と続けて80億ドル強の差がついている。

 

 この間の四半期平均原油価格(1バレル当たり)の推移をShellの決算資料で見ると39.31ドル(’16 2nd Qtr)→40.43ドル(3rd Qtr)→44.54ドル(4th Qtr)→48.36ドル(’17 1st Qtr) →45.62ドル(2nd Qtr)であり、今年第Ⅰ四半期まで価格回復が続いたが、今期は前期に比べ6%ほど下落している。この価格の変動が各社の売上高の推移に反映していると言えよう。

 

(2)利益の推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-62.pdf 参照)

 過去1年間の四半期ごとの利益水準は各社によって異なるものの、全体を通してみると四半期ごとに増益と減益を繰り返しており今期は5社ともに対前期比で減益となっている。なお昨年第2半期にBPとChevronが損失を計上した以外は今期まで各社はいずれも利益を計上している。

 

 5社の中で安定して高い利益を計上しているのはExxonMobilである。同社の利益の推移は17億ドル→27億ドル→17億ドル→40億ドル→34億ドルである。2016年第二四半期にTotalを下回った以外は5社のトップを維持している。ExxonMobilに続くのはShellであり、同社は2016年第2四半期の利益12億ドル以降14億ドル→15億ドル→35億ドルと推移し、今期は大きく落ち込んで15億ドルとTotalを下回る水準にとどまっている。

 

 BPとChevronは2016年第二四半期にほぼ同額の15億ドルの欠損を出した後、続く第3四半期には両社とも利益に転じている。しかし今年第1四半期にはChevronが大きく利益を伸ばしてTotalとほぼ同額になったが、BPは前年第3四半期の利益水準を下回る14億ドルであり、今期は5社の中では最低の1億ドルにとどまっている。売り上げ規模ではBPは5社中の3位であるが(上記(1)参照)、利益水準は低い。

 

(3)売上高利益率の推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-63.pdf 参照)

 1年前の昨年第2四半期の五社の利益率は大きな格差があり、最も高いTotalは5.6%、これに次ぐのがExxonMobil2.9%、Shell2.0%であり、BP及びChevronは共にマイナスの利益率(BP:-3.1%、Chevron:-5.0%)であった。第3四半期には全社プラスに転じ、最高がTotalの5.2%、最も低いShellが2.2%と大きな差は見られない。続く第4四半期も各社利益率は団子状態であったが、今年第1四半期には各社の利益率に大きな格差が生まれ、最高はChevronの8.0%で、Total (6.9%)、ExxonMobil(6.3%)がこれに続きShellは4.9%であり、利益率が最も低かったのはBPの2.6%であった。5社の格差は今期も継続し、ExxonMobilとTotalが5%強、Chevron4.2%の利益率に対し、Shellは2%強、BPは0.3%にとどまっている。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

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