石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計2017年版解説シリーズ:天然ガス篇 (11)

2017-08-16 | BP統計

 

2017.8.16

前田 高行

 

(2009年に日本を超えた中国、増加の伸びが止まった日本とインド!)

(4)日本、中国及びインドの消費量の推移(1990~2016年)
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-3-G03.pdf 参照)

 ここではアジアの三大国である日本、中国及びインドについて1990年から昨年までの消費量の推移を比較してみる。1990年の日本、中国及びインドの天然ガスの消費量はそれぞれ481億㎥、158億㎥、120億㎥であった。中国は日本の3分のⅠ、インドは4分の1に過ぎなかった。それでも同じ年の米国の消費量5,429億㎥と比べると日本ですら米国の10分の1以下だったのである。

 

 1990年から2000年までの10年間はインドの消費量が急増した結果、2000年における3カ国の消費量は、日本723億㎥、インド264億㎥、中国253億㎥となりインドが中国を追い抜き、日本と中印両国の差は3倍弱であった。

 

 2000年以降は中国の天然ガス消費量が急増、2005年には482億㎥と5年間でほぼ倍増した。2005年以降は増加のペースがさらに加速し2009年には日本を追い抜き、2016年の中国の消費量は2,103億㎥、日本の1.9倍となっている。日本の場合は2000年から2010年までの年間平均増加率は3%であったが、2011年には一挙に対前年比12%の大幅増となり、2012年も前年比11%と2年連続して高い増加率を示した。福島原発事故に伴う火力発電用LNG調達のためであるが、その後の2013年および2014年の対前年伸び率はそれぞれ0.0%および1.0%と増加の勢いは止まり、2015年、2016年は減少に転じそれぞれ前年比―3.9%及びー1.9%の減少となった。インドの消費量は2010年までは順調に伸び2012年には711億㎥に達したが、その後は減少に転じ、2016年の消費量は501億㎥である。これは日本の2分の1、中国の4分の1弱である。

 

 天然ガスは石油に比べてCO2や有害物質の排出量が少ない「環境に優しいエネルギー」として今後需要が拡大することは間違いない。世界的にも新しいパイプラインやLNGの液化・運搬・受入設備が増強されている。米国でシェールガスの開発生産が急増しており、また世界各地で新しいガス田が発見されるなど天然ガスの開発と生産拡大の余地は大きく、それに応じて今後も消費拡大のペースは続くものと思われる。中国は今後ますます需要が伸びるものと見られ、最近ロシアと大型天然ガス購入契約を締結し消費の増加に対処しようとしている。

 

(続く)

 

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