(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0420OilMajor2017-2ndQtr.pdf
2017.8.21
前田 高行
1.五社の1-3月期業績比較 (続き)
(5)設備投資
(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-54.pdf 参照)
2017年4-6月期の各社の設備投資額はShellが57億ドルと最も多く、これに次ぐのがChevronの45億ドルである。その他の3社は、BP42億ドル、ExxonMobil39億ドル、Total38億ドルと40億ドル前後で並んでいる。Totalが1.5%の微増であるが、その他の4社はいずれも前年同期を下回っており、特にExxonMobilは前年同期の52億ドルから24%減少しており、Chevronも前年同期比18%減である。ShellとBPは2%減にとどめている。石油価格が上昇し資金に余裕が出ているが、石油の需要そのもののが伸びないため、各社とも設備投資に対する慎重な姿勢が続いているようである。
(6)原油・ガス生産量
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-22.pdf 参照)
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-55.pdf 参照)
今年4-6月の原油生産量はExxonMobilが平均日産量227万バレル(以下B/D)で5社の中では最も多い。その他の4社はいずれも200万B/D以下であり、Shellが181万B/D、Chevron 175万B/D、BP は135万B/D、Total はExxonMobilの6割弱の130万B/Dで5社の中では最も少ない。ExxonMobilは世界各地で万遍なく原油生産をおこなっており他社を圧倒している。前年同期と比較するとBPは23%増と5社の中では飛び抜けて増加し、Shell、Total、Chevronはいずれも4%の増産となっている。ExxonMobilは2.6%減と5社の中で唯一生産量が落ちている。
天然ガスの生産量はShellとExxonMobilがそれぞれ99億立方フィート(以下cfd)、97億cfdである。これに対して他の3社はTotal65億cfd、BP63億cfd、Chevron62億cfdと並んでおり、ShellあるいはExxonMobilの6割強にとどまっている。前年同期に比べるとChevronが23%、BPが9%増加しており、ExxonMobil及びTotalは横ばい、Shellは5%減少している。
天然ガスを石油に換算した原油・天然ガスの合計生産量ではExxonMobilは392万B/Dでこれに次ぐのがShellの350万B/Dである。その他の3社はChevron278万B/D、Total250万B/D、BP243万B/DでありExxonMobilあるいはShellの7割前後である。石油と天然ガスの比率を見ると、5社はいずれも石油の比率が高いが、その中でもChevronは石油63%、天然ガス37%であり5社の中では石油の比率が最も高い。BP及びExxonMobilはそれぞれ石油56%:天然ガス44%、石油58%:天然ガス42%である。Totalは5社の中では石油と天然ガスの比率が最も拮抗しており、石油52%、天然ガス48%である。
JXTGの決算資料では石油生産量4.5万B/D、天然ガスを加えた合計の生産量は10.7万B/Dである。同社の石油と天然ガスの比率は42%対58%であり、天然ガスの比率が石油のそれを上回っている。ただ国際石油企業と比較した場合、JXTGの生産量はExxonMobilの3%に過ぎず、規模の格差は歴然としている。
(続く)
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