(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0508BpOil2020.pdf
BPが恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2020」を発表した。以下は同レポートの中から石油に関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。
*BPホームページ:
https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/bp-statistical-review-of-world-energy-2020-published.html
3.世界の石油消費量(続き)
(石油自給率が劇的に改善した米国、徐々に悪化する中国!)
(5)石油の需給ギャップおよび自給率の変化(2010年~2019年)
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-3-G04.pdf 参照)
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-3-G05.pdf 参照)
石油生産国の中でも人口が多く産業規模の大きな国は同時に多くの石油を消費する。例えば米国と中国はそれぞれ世界1位と8位の産油国であるが、消費量では世界1位と2位である。両国を合わせた世界シェアは生産量で22%、消費量では34%に達する。両国とも消費量が生産量を上回るため、米国は1965年以前から既に石油の輸入国であり、中国は1990年代前半に輸入国に転落している。
米国の場合2019年は生産量1,705万B/Dに対して消費量は1,940万B/Dであり、差し引き235万B/Dの需要超過で石油自給率は88%となる。1965年に78%であった米国の石油自給率は年々低下し1990年代には50%を切り、そして2000年代は40%を割るなどほぼ一貫して低下してきた。しかし2010年代に同国の自給率は劇的に改善し、2010年に41%であった自給率は、2019年にはついに88%に達している。現在米国は必要な石油の9割近くを自国産原油で賄っていることになる。
一方、中国の場合1992年までは生産量が消費量を上回り自給率100%であったが、その後純輸入国に転じている。しかも生産と消費のギャップは年々広がり、2010年に531万B/Dであった需給ギャップが2019年には1千万B/Dを超えている。この結果2010年には43%であった自給率も2019年は27%まで落ち込んでいる。米国と逆に中国は必要な石油の4分の3近くを輸入に頼っていることになる。
インドも中国同様に年々需給ギャップが拡大している。2010年の同国の需給ギャップは248万B/Dであり、自給率は27%であった。その後需給ギャップは年々拡大しており、2019年は444万B/Dに達している。その結果2019年の自給率は16%にまで低下している。
近年産油国としての存在感を示しつつあるブラジルは、2010年は生産213万B/Dに対して消費量は227万B/Dで自給率は94%であったが、2016年以降は100%を超え、完全自給体制を確立している。
(石油篇完)
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