石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

中堅国家が軒並み格下げ、不吉な予兆?:世界主要国のソブリン格付け(2020年7月現在) (中)

2020-07-06 | その他
(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。 http://mylibrary.maeda1.jp/0507SovereignRating2020Jul.pdf

3.2017年7月以降の格付け推移
ここでは2017年7月以降現在までの世界の主要国及びGCC6か国のソブリン格付けの推移を検証する。

(1) 世界主要国の格付け推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-G-3-01.pdf参照)
ドイツは過去3年間常に最高のトリプルAの格付けを維持している。米国はドイツより1ランク低いAA+を、また英国は米国より1ランク低い格付けAAを過去3年間続けている。中国及び日本はドイツ、米国、英国に比べさらに低い格付けである。中国は2017年上期まではAA-であったが、同年下期に下方修正され現在は日本と同じA+である。

新興経済国のメキシコ、インド、南アフリカ及びブラジルの2017年7月の格付けは、メキシコが投資適格のBBB+であり、インドは投資適格で最も低いBBB-であった。因みにS&PはBBBを「債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い」と定義付けている。

南アフリカとブラジルは投資不適格の格付けBBであるが、南アフリカはBB+、ブラジルはBBであり南アフリカの方が1ランク高い。格付けBBの定義は「より低い格付けの発行体ほど脆弱ではないが、事業環境、財務状況、または経済状況の悪化に対して大きな不確実性、脆弱性を有しており、状況によっては債務を期日通りに履行する能力が不十分となる可能性がある。」とされている。

2018年上半期には南アフリカ及びブラジルが1ランク格下げされ、それぞれBB及びBB-とされ、メキシコとインドは格付けに変更はなかった。4か国はその後今年1月までは同一格付けを維持してきたが、今年上半期にメキシコはBBB+からBBBに格下げされた。また南アフリカも1ランク下に格下げされ現在はブラジルと同じBB-格付けである。

子ここでは触れていないが中東のクウェイト、オマーンも今年上半期に格下げされており、レバノンは高度なインフレと通貨危機に陥っているレバノンの格付けは昨年までのCCCから一挙に無格付けに転落している。これは新型コロナウィルス危機による世界的な景気後退の影響が経済のぜい弱な新興国に集中して現れたと見ることができる。今後その他の新興国、さらには欧米先進国の一部にも格下げが波及する可能性がある。

(続く)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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石油と中東のニュース(7月6日)

2020-07-06 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(コロナウィルス関連ニュース)
・サウジ、外国人のビザ有効期間延長、期限切れの再入国ビザも
(石油関連ニュース)
・シェルトップ:本社のオランダから英国への移転を検討と発言
(中東関連ニュース)
・UAE内閣改造、経済関係に3閣僚任命
・トルコ、カショギ事件でサウジ人被告欠席のまま裁判継続。証人が死体焼却前後の様子を証言
・イラン、ナタンズ核濃縮プラント火災を認める。ウラン濃縮にかなりの遅れ発生
・サウジ、8千億ドル投じ首都リヤドを地域ハブの1,500万都市に改造
・クウェイト内務省、外国人削減の法改正案を国会に提出
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