BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2019」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量及び価格のデータを抜粋して解説したものである。
*BPホームページ:
http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html
1. 世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)
(埋蔵量を食いつぶすカタール、20年間で6倍以上増えた中国とトルクメニスタンの埋蔵量!)
(5)主な天然ガス資源国の2000年以降の埋蔵量の変化
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-1-G04.pdf 参照)
2019年末の天然ガス埋蔵量上位7カ国(ロシア、イラン、カタール、トルクメニスタン、米国、中国及びベネズエラ)について2000年~2019年までの埋蔵量の推移を見ると、ロシアは2000年の埋蔵量は33tcm(兆立方メートル)であり、2008年には34tcmを突破、2019年末の埋蔵量は38tcmに達しており、19年間を通じて埋蔵量を着実に増加させるとともに世界一の座を保っている。イランの場合2009年までは埋蔵量20tcm台にとどまっていたが、2010年以降は30tcmを超える水準を維持しており2019年末の埋蔵量は32tcmである。
世界第3位の埋蔵量を誇るカタールは2001年に埋蔵量を15tcmから27tcmに大幅に上方修正したが、その後、新規開発を凍結するモラトリアム宣言を行った。その結果、2002年以降は年々減少し2019年の埋蔵量は25tcmまで下落している。危機感を抱いた同国は2017年4月にノース・ガス田の開発再開を宣言している。
ロシア、イラン、カタール3カ国の埋蔵量はその他の国を圧倒しているが、近年トルクメニスタンの伸長が著しい。同国の2000年末の埋蔵量は2.6tcmであり、当時は世界12位であったが、2008年には8.2tcm、更に2011年には19.5tcmと2000年に比べ7.5倍に増え、2019年もその水準を維持している。
イランとトルクメニスタンは2007年以降共に埋蔵量が増加している。しかしイランは米国の経済制裁により国際石油企業との合弁事業が進まず自前の技術で探鉱開発を行っており同国の技術が時代遅れのものであることは周知の事実である。このような状況下で埋蔵量が増加しているのは石油篇で述べたと同様、イラン政府が意図的に埋蔵量の水増しを行っている可能性が否定できない。これに対してトルクメニスタンの場合は外国民間企業との全面的なタイアップにより国内で探鉱作業を行った成果であり埋蔵量の数値は信頼性が高いと考えられる。
米国も2006年以降埋蔵量が増加する傾向にあり2011年には2006年比1.4倍の9.1tcmに達し、2014年は10.0tcmを突破した。その後2015年、16年は8tcmに落ち込んだが、2019年末は過去最高の12.9tcmの埋蔵量を誇っている。
(天然ガス篇埋蔵量完)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
*BPホームページ:
http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html
1. 世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)
(埋蔵量を食いつぶすカタール、20年間で6倍以上増えた中国とトルクメニスタンの埋蔵量!)
(5)主な天然ガス資源国の2000年以降の埋蔵量の変化
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-1-G04.pdf 参照)
2019年末の天然ガス埋蔵量上位7カ国(ロシア、イラン、カタール、トルクメニスタン、米国、中国及びベネズエラ)について2000年~2019年までの埋蔵量の推移を見ると、ロシアは2000年の埋蔵量は33tcm(兆立方メートル)であり、2008年には34tcmを突破、2019年末の埋蔵量は38tcmに達しており、19年間を通じて埋蔵量を着実に増加させるとともに世界一の座を保っている。イランの場合2009年までは埋蔵量20tcm台にとどまっていたが、2010年以降は30tcmを超える水準を維持しており2019年末の埋蔵量は32tcmである。
世界第3位の埋蔵量を誇るカタールは2001年に埋蔵量を15tcmから27tcmに大幅に上方修正したが、その後、新規開発を凍結するモラトリアム宣言を行った。その結果、2002年以降は年々減少し2019年の埋蔵量は25tcmまで下落している。危機感を抱いた同国は2017年4月にノース・ガス田の開発再開を宣言している。
ロシア、イラン、カタール3カ国の埋蔵量はその他の国を圧倒しているが、近年トルクメニスタンの伸長が著しい。同国の2000年末の埋蔵量は2.6tcmであり、当時は世界12位であったが、2008年には8.2tcm、更に2011年には19.5tcmと2000年に比べ7.5倍に増え、2019年もその水準を維持している。
イランとトルクメニスタンは2007年以降共に埋蔵量が増加している。しかしイランは米国の経済制裁により国際石油企業との合弁事業が進まず自前の技術で探鉱開発を行っており同国の技術が時代遅れのものであることは周知の事実である。このような状況下で埋蔵量が増加しているのは石油篇で述べたと同様、イラン政府が意図的に埋蔵量の水増しを行っている可能性が否定できない。これに対してトルクメニスタンの場合は外国民間企業との全面的なタイアップにより国内で探鉱作業を行った成果であり埋蔵量の数値は信頼性が高いと考えられる。
米国も2006年以降埋蔵量が増加する傾向にあり2011年には2006年比1.4倍の9.1tcmに達し、2014年は10.0tcmを突破した。その後2015年、16年は8tcmに落ち込んだが、2019年末は過去最高の12.9tcmの埋蔵量を誇っている。
(天然ガス篇埋蔵量完)
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